新エネ車スタートアップ企業の小鵬汽車は地場メーカーを買収し、自動車の生産資格を獲得

新エネ車スタートアップ企業の小鵬汽車は、地場メーカーの広東福迪汽車有限公司(以下、福迪汽車)を買収したと報じられている。またメディアは、企業登録情報を確認したところ、3月19日に福迪汽車の株主は小鵬汽車傘下の「肇慶小鵬新能源投資有限公司」に変更された。今回の買収により、小鵬汽車は国の認定が必要な自動車の生産資格を獲得した。

自動車業界の生産能力過剰が深刻化しているなか、中国政府は生産工場の新設を厳しく制限している。そのため、自動車の生産資格は、新エネ車スタートアップ企業が自社工場を建設し、自社生産を行う際のハードルとなっている。小鵬汽車は2017年5月、自社生産拠点を広東肇慶市に建設すると発表しており、投資総額は100億元を超える見込みだ。しかし、生産資格がないため、肇慶工場は稼働できず、「鄭州海馬汽車」という生産資格を持っている地場メーカーに小鵬初の電気自動車G3の生産を委託している。同じ新エネ車スタートアップ企業であるNIOも、自社生産体制を持たず、地場メーカーの江淮汽車(安徽省合肥市)に生産を委託している。

委託生産は生産準備期間の短縮で早期に新車を発売することができるメリットがある一方、デメリットも少なくない。生産拡張や品質維持はもとより、担保となる固定資産を持っていないため、政府や金融機関からの元建て融資を得るのも難しい。

近年、自動車市場の鈍化に加えて、ベンチャー投資も低迷しているため、スタートアップ企業の多くは資金繰りが厳しくなっている。そのため、工場を自前で建設し、他社を買収して生産資格を手に入れるのは、大半のスタートアップ企業にとって避けて通れない道となっている。 新エネ車スタートアップ企業の威馬汽車(Weltmeister)は過去に「大連黄海汽車」を買収して生産資格を獲得している。2018年10月にはBytonが「一汽夏利」傘下の子会社である「一汽華利」を1元+8億5000万元の債務負担で買収した。同じ新エネ車スタートアップ企業の理想汽車も「重慶力帆汽車」を6億5000万元で買収した。

買収で生産資格を獲得するには、まず潤沢のキャッシュフローが必要だ。小鵬汽車の関係者によると、同社は昨年末に4億米ドルを融資したばかりで、2019年も正常な営業収入があるため、資金圧力はそれほど大きくない。また現在委託側との関係に影響が出るかどうかについても、「良好な提携関係を維持しており、生産は順調に行われている」と答えた。

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