トヨタ、海馬汽車と水素燃料電池車で提携へ

海南省に立地している地場メーカーの海馬汽車は3月24日、TMCI(トヨタ自動車(中国)投資有限公司)と「水素燃料電池自動車の研究開発と産業化分野での戦略的提携に関する枠組み協定」を締結したと発表した。

提携内容として、海馬汽車の車種にトヨタの第2世代Miraiスタックを含む成熟した技術を搭載して、完成車の适性開発を行うこと、海南島全域を試験エリアとして、海馬汽車が建設した水素エネルギー供給システムとモビリティネットワークを利用して、テストを実施することが含まれている。

計画によると、2023年に実証実験用に200台を投入して、2025年までに2000台の運営規模に拡大する。

電気自動車の波に乗り遅れたことと、主力業務のガソリン車の不振は、海馬汽車が水素燃料電池車の発展に全力を挙げる理由である。1月30日に発表された海馬汽車の財務報告によると、2022年の売上高は22億-26億元、株主に帰属する純利益は12億-18億元の損失となる見込みである。

活路を見だすために、海馬汽車は、国内でいち早く水素燃料電池乗用車の研究開発を開始した。海馬汽車副会長の盧国綱氏は、「海馬汽車は2013年から水素燃料電池自動車の研究開発に投資しており、すでに実証実験に使用できる第4世代水素燃料電池乗用車を開発している。車載水素貯蔵タンクの圧力は35MPaから70MPaに、スタックの出力は30kWから100kWに引き上げられ、1回の水素充填で800キロの走行が可能で、関連技術指標は国内トップ水準に達している」と紹介した。

また、海馬汽車は大手エネルギー関連企業と共同で、省都の海口市に屋上分散型太陽光発電と電気分解法に基づく水素製造及び高圧水素充填一体化ステーションを建設している。

トヨタが中国の乗用車メーカーに水素燃料電池システムを供給するのは今回が初めてである。

2022年3月、国家発展改革委員会と国家エネルギー局は共同で「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021-2035年)」を発表し、2025年までに水素燃料電池車両の保有台数を約5万台とする目標を打ち出した。2022年末までに国内で販売された水素燃料電池車は累計1万3千台で、ほとんど商用車であり、2025年の保有台数の目標まであと4万台足らない。

一方、中国政府によるカーボンニュートラル戦略の持続的推進と地方政府の水素エネルギー産業への政策支援に伴い、水素燃料電池自動車市場は、今後多くのチャンスを迎えると期待されている。

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