アリババのダルマ院はソフト・ハード一体化高精度測位システムを提案

ITメディアの雷鋒網は6月4日、アリババの技術開発機関の達磨院(以下はダルマ院)が独自に開発した高精度測位システムが最新のバージョンアップを完了し、GNSS・センサー統合の密結合アルゴリズムに基づき、GPS信号がなくてもセンチメートル級の測位を実現できることを明らかにした。

同システムはソフトウェアとハードウェアを一体化した設計を実現し、従来の10%のコストで業界トップレベルに達しているという。現在、同システムはダルマ院の無人物流車「菜鳥」(CaiNiao)に導入されている。

測位は自動運転システムのコア機能の1つで、自動運転車両は通常、GPSやセンサーなどの信号を利用して自己の位置や姿勢、方位データを取得する。

一般的に、GPSはメートル級の精度の絶対測位しか提供できないが、センチメートル級まで精度を上げるためには、RTK(搬送波位相差技術)による高精度測位が業界共通のソリューションとなっている。RTKは、地上強化信号によってGPSの精度を高めるには、通常は高精度慣性航法装置を併用する必要がある。

しかし、高精度慣性航法装置の使用はコスト上昇に伴うだけではなく、この方式では、衛星信号が不安定になったり、失われたりする問題を克服することは困難だ。

複雑な都市環境では、衛星信号が建物によって遮られたり、反射されたり、弱くなったり、失われたりして、測位誤差が発生することがよくある。安定した連続的な高精度測位を追求するため、GPSと車両センサーの「GNSS・センサー統合」が業界研究の焦点となりつつある。

ダルマ院によると、主流のGNSS・センサー統合測位技術は疎結合と密結合の2種類に分けられ、前者はセンサーデータの処理結果を融合する。後者はまずセンサーの生データを融合してからセントラルコンピューティングを行うと、効果がよりよくなるが、難易度も高くなる。

ダルマ院は密結合アルゴリズムを採用して、GPS、慣性航法、車輪速、カメラ、レーザーレーダーなどのマルチセンサーの統合を実現し、低精度のセンサーでもセンチメートル級の測位を実現し、しかもGPS信号のないトンネル、倉庫などの場所でも測位システムは正常に機能し、RTKへの依存から抜け出た。

なお、ダルマ院はこのアルゴリズムをソフト・ハード一体化して実現し、このアルゴリズムに適合する高精度な定位ハードウェアを開発した。従来の1割のコストで測位システムを提案している。

アリババの「菜鳥」アルゴリズム専門家である陳俊波氏は昨年4月、同社の「菜鳥」無人車はすでに3年の研究開発を経ており、量産・商用化を目前に控えており、年内に実車を投入すると述べた。

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