消費者は自動運転にかかるコストを思うほど払いたくない?
60社以上の自動車メーカー,数百億から数千億ドルの研究開発費の投入、バラ色の市場見通し、どこにでもある未来交通のイメージ画像や動画などは、自動運転を今の自動車業界で最もホットな話題にしている。
しかしグローバルコンサルティング会社AlixPartnersはそうは考えておらず、同社が発表した「自動運転グローバル消費者調査報告」によると、既存のL2クラスの自動運転車に加えて、消費者は「両手でハンドルから外せる」L4クラスの自動運転車のために8%から24%の追加料金を支払うことしか望んでいないと報告した。
同社が行った世界の消費者調査では、自動運転車のプレミア価格に対する中国の消費者の受容度は8%と最も低い。 つまり、中国の消費者はL2クラスの自動運転車に2178ドルを支払ってもいいと思うのに対して、L4クラスの自動運転車には、8%程度増の2343ドルしか払う意思はない。一方、中国の消費者が自動運転車のために支払ってもいいと思う金額は世界で最も高い。
対照的に、ドイツの消費者はL4クラスの自動運転車のプレミア価格に対する受容度は、1488ドル(L2クラス)から1844ドル(L4クラス)まで24%の幅を持ち、世界で最も高い。
また、自動運転車の購入を検討している多くの潜在消費者は、自動運転車が広く普及してから5年以上待ってから購入する傾向にあることが分かった。イギリスの消費者の81%、米国の消費者の79%が5年以上待ちたいと答えた。
一方、中国の消費者51%が「待つ」と回答しただけで、自動運転に最も積極的な姿勢を示している。これはつまり半分近くの中国人購入者がよりグレードの高い自動運転車を自発的に購入しようとしていることを意味している。
調査に参加した各国の消費者は自動運転車の安全性に懸念をもっている。中国を除いて自動運転車の安全性を心配しないと答えた人の割合は18%から36%にとどまっている。米国では、全体に占める割合は27%に過ぎない。中国の消費者は、自動運転安全性に対して楽観的で、58%の中国人消費者が自動運転車の安全走行性能に自信を示している。
自動運転のもう一つの強力なライバルはネット配車業界だ。
同じ自動運転車で、ネット配車利用の月額コストが個人保有の月額コストより40%低いか、もしくは後者が前者より20%高い場合は、全世界の回答者の44%から84%が自動運転車の購入をあきらめてネット配車の利用に移行したいと回答した。中国の消費者が自動運転ネット配車への移行を選択した割合は84%で最も高い。
「自動運転グローバル消費者調査報告」は同時に、1人当たりの自動車保有率が低い国では、消費者は自動運転車の購入から自動運転ネット配車サービスの利用へと移行する傾向が強く、中国はこの面で際立っていると指摘した。