ファーウェイ、甲級測絵資質を申請、自動運転への布石か

7月5日、中国自然資源部のウェブサイトにファーウェイ技術を含む7社が申請を提出した甲級測絵資質の審査意見が公示された。

関連政策によると、公示期間が満了して異議がなかったり、異議があっても、管轄部署の国土測絵司が問題がないと判断すれば、申請を承認する。

つまり、その後の10営業日以内にファーウェイは測絵の資質証明書を取得する可能性がある。公示が採択されれば、ファーウェイは合法的に自動運転地図(高精度地図)を作成する企業となる。これは、カーナビ地図のデータ採取・生成への許可を意味しており、自動車と強いかかわりのある資質となる。

2016年、元国家測量地理情報局が出した「自動運転地図の生産テストと応用管理の強化に関する通知」(国測成発(2016)2号)は、自動運転地図(高精度地図)の作成は、ナビゲーション電子地図作成の測量・製図の資質を有する機関が行わなければならないことを明記している。

これはきわめて価値の高い甲級測絵資質で、ナビ地図の採集・生成できる。これまで、百度、アリババ、テンセントは相次いで買収を通じて資質を獲得してきた。百度は「長地万方」を買収し、テンセントは「大地通途」を買収し、アリババは「高徳地図(Autonavi)」を買収した。

BATの買収戦略と比べて、MaaS大手のDiDiは100%出資した子会社の「滴図科技」を通して、同資質を獲得した。今回ファーウェイもDiDiと同じ方法をとっており、資格の申請者は、ファーウェイが100%出資した北京華為数字技術有限公司だ。

これまでに甲級測絵資質を獲得した企業は国内に20社弱しかない。具体的には、四維図新、高徳、霊図、長地万方、凱立徳、易図通、国家基礎地理情報センター、立得空間、騰訊大地通途、江蘇省測量工程院、浙江省第一測量院、江蘇省基礎地理情報センター、光庭、滴図科技、中海庭、Kuandeng、初速、晶衆、智途など19の機関だ。

甲級資格は自動運転地図(高精度地図)作成の必要条件であるため、ファーウェイは今後自動運転関連業務の研究開発を行うことができるようになる。

もちろん資質は参入障壁でしかなく、最終的に勝負するのはやはりデータの蓄積だ。これまで、四維図新、百度、高徳はすでに資質とデータの蓄積によって、寡占を形成してきた。

伝統的なナビ地図については、ファーウェイはデータを購入することでデータの不足分を補うことができるが、全国をカバーするナビ地図の更新とメンテナンスにかかるコストと労力は必ずしも割に合わない。

一方、自動運転の高精度地図については、まだ寡占状況が形成されていない。生まれたばかりの高精度地図の分野では、様々な技術的問題が未解決で、多くの企業は技術的な難関を集中的に克服してはじめて高精度地図の作成と量産のステップに進むので、技術力を持っているファーウェイにとって、多くのチャンスが待っている。

公開資料から、ファーウェイは地図分野の人材と研究開発において、長年にわたり布石を打ってきたことが明らかになった。

2010年から、ファーウェイは大量の地理情報システム(GIS)関連の卒業生を募集しており、大部分は無線ネットワーク設計の最適化の仕事に従事している。

近年(今日までを含む)、ファーウェイは北京と西安の研究所でGIS探索アルゴリズムエンジニア、三次元再構築アルゴリズムエンジニア(研究領域:GISポジショニング、高精度地図、GISデータ採集、三次元再構築、知能化材質分析、空間分析と計算、視覚ポジション測定、機械学習など)を募集した。

黎曼実験室(注)は、ファーウェイ全社の「時空情報研究開発センター」となっている。 その研究対象には、時空情報、屋内ナビゲーション、高精度地図、3次元モデリングなどの技術がある。

現在、黎曼実験室の主任は武漢大学リモートセンシング情報工学科の孫明偉准教授が務めており、主な研究領域は写真測量とリモートセンシング、コンピュータビジョンである。

地図の分野では、ファーウェイは早くから多くの技術蓄積と人材備蓄をしてきたと言えるだろう。今後甲級測絵資質がとれれば、ファーウェイは自動運転地図に参入すると予想される。

ファーウェイCEOの任氏は、「今後5年間、ファーウェイの売上げは1兆元に達するだろう」と述べた。将来は人工知能の時代だが、自動運転を実現させるには、先進的な通信技術(5Gなど)が欠かせない。自動車の知能化という時代の流れをチャンスとしてつかめば、ファーウェイは1兆の目標にまた一歩近づくかもしれない。

注:ファーウェイの黎曼実験室は同社数多く研究室の一つで、リーマン空間の研究を行っている機関

 

4476