SAIC、「尚界」商標を多数出願 ファーウェイとの第5の「界」協力が進展か?

最近、SAIC(上汽)は「尚界」や「上汽尚界」などの商標を複数出願しており、ファーウェイとの協力に関する憶測が業界内で広がっています。

SAICは「尚界」商標を多数出願

中国国家知識産権局商標局の情報によると、これらの商標の国際分類は燃料油脂、広告販売、機械設備などの分野を含み、従来の自動車関連カテゴリに限定されていません。また、SAICはファーウェイの「問界(AITOの中国語名)」に似た視覚デザインを持つ図形商標も出願しました。この商標は「H」の文字とSAIC(上汽の英語略称)を組み合わせたもので、ファーウェイの「鴻蒙智行」ブランドロゴに採用されている六角形デザインと似ています。

市場では、「尚界」は「鴻蒙智行」の「問界」「智界」「享界」「尊界」に続く第5の「界」になる可能性があるとの見方が広まっています。しかし、SAICはこの件について公式なコメントを出していません。

SAICとファーウェイの協力に関する噂

2024年下半期以降、SAICとファーウェイの協力に関する報道が相次いでいます。一部情報によれば、SAICの賈健旭総裁が自ら指揮を執り、協力を推進しているとのことです。両社は、既存のサプライヤー方式、Huawei Inside(HI)方式、鴻蒙智行方式を超えた新たな協力枠組みを模索している可能性があるとされています。さらに、SAICがファーウェイ傘下のスマートカー子会社「引望」への戦略的投資を検討しているという噂も流れています。しかし、現時点でSAICもファーウェイもこれらの噂について公式なコメントを控えています。

これまでにも、SAICとファーウェイは協力関係を築いてきました。例えば、SAICの「飛凡R7」モデルはファーウェイのAR-HUDシステムを搭載しており、SAICアウディもファーウェイのスマートドライビング技術を採用しています。これらの協力は、両社のさらなる提携に向けた土台となっています。

資本市場と業界の注目

2024年、「鴻蒙智行」ブランドは累計で新車44.5万台を納車しました。特に「問界(AITO)M9」は発売1年で20万台以上の予約注文を獲得し、「問界新M7」は年間で19万台を納車するなど、目覚ましい成果を収めています。市場でのファーウェイとの協力に対する楽観的な見方を背景に、SAICの株価は2024年11月の13.32元から12月末には21.3元まで上昇しました。その後、一部の調整は見られたものの、依然として2022年以来の高水準を維持しています。

注目すべき点として、SAICがかつて掲げていた「魂の志向」が挙げられます。2021年、当時の会長である陳虹氏は「単一のサプライヤーに主導されたソリューションは受け入れられない。我々の魂は自ら掌握する必要がある」と明言し、ファーウェイとの深い協力に慎重な姿勢を示していました。しかし、スマートカー業界の競争が激化する中で、ファーウェイとのより深い協力はSAICにとって打開策となる可能性があります。

「尚界」は第5の「界」となるか?

現在、ファーウェイは「問界」「智界」「享界」「尊界」の4つのブランドを展開しており、いずれも鴻蒙智行(旧智選)方式を採用しています。この方式では、ファーウェイが車両設計、技術開発、販売チャネルに深く関与しています。「第5の界」に関する市場の憶測には一定の根拠があります。2024年末、GAC(広汽)がファーウェイと共同でハイエンド電気自動車ブランドを立ち上げると発表しました。公式には鴻蒙智行方式ではないとされていますが、それでも業界の注目を集めました。

SAICの「尚界」商標出願が「鴻蒙智行」の第5の「界」を示しているのかどうかは、現時点では明らかになっていません。しかし、SAICとファーウェイがスマートカー分野で協力を深化させることができれば、業界の構造に大きな影響を与える可能性があります。

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