一汽紅旗とファーウェイの「H+H」協業が具体化――「三智双智」を軸とした新たな協業モデルとは

4月19日、一汽紅旗は「H+H=?」という形で協業に関する情報を予告し、その後、Weibo(微博)の公式アカウントを通じて、ファーウェイの「乾崑」と一汽紅旗との協業を正式に発表しました。今回の提携は、「クラシック×テクノロジー」を掲げた重要な取り組みと位置付けられています。あわせて、ファーウェイが「スマート電動車発展ハイレベルフォーラム(2026)」で公表した内容を踏まえると、今回の協業の方向性はすでに明確になっており、「乾崑スマートカーソリューション」における「三智双智」モデルを軸に展開される見通しです。関連する成果は、紅旗の今後の新型車、とりわけ「紅旗9シリーズ」に優先的に導入される可能性があります。
これは、紅旗とファーウェイの協業が、従来の「提携確認」段階から、具体的な協業モデルや導入計画が段階的に明らかになるフェーズへと移行したことを意味します。
「H+H」発表の背景:協業は実質的な実装段階へ
実際、紅旗とファーウェイの協業は突発的に始まったものではありません。すでに2025年11月に開催されたファーウェイ乾崑エコシステム大会において、ファーウェイスマートカーソリューションBUのCEOである靳玉志氏がパートナー企業を紹介する中で、一汽紅旗との協業は確認されていました。ただし当時は、具体的な協業内容や製品計画については明らかにされていませんでした。
その後、2026年4月に入り、この協業はさらに具体化しました。一方で、ファーウェイはフォーラムにおいて乾崑スマートカーソリューションの3つの協業モデルを体系的に説明し、他方で紅旗も公式チャネルを通じて「H+H」提携を明示しました。これにより、両社の関係が単なる部品調達にとどまらず、より踏み込んだスマート化分野での協業であることが明確になりました。
現在の情報によれば、両社の協業はまず「紅旗9シリーズ」を中心に展開される見込みです。同シリーズには、H9、E-HS9、HQ9、HQ9 PHEVなどが含まれており、今後の新型車はファーウェイの技術ソリューションを優先的に採用するプラットフォームとなる可能性があります。これが実現すれば、紅旗はまず自社の高級・フラッグシップ領域においてファーウェイのスマート化技術を導入し、運転支援、コックピット体験、さらには車両全体の知能化競争力の向上を図ることになります。
「三智双智」とは何か:鸿蒙智行でも単なる部品供給でもない中間的な協業モデル
ファーウェイの説明によれば、「乾崑スマートカーソリューション」は現在、「全スタックモデル」「三智双智モデル」「部品サプライヤーモデル」の3種類に大別されます。このうち、紅旗が採用したのが「三智双智モデル」です。
公開情報を踏まえると、「三智双智」の中核は、スマートドライビング、スマートコックピット、スマート製造の3分野における深い協業にあります。具体的には、紅旗の今後の車両にはファーウェイ乾崑の高度運転支援システムや鴻蒙スマートコックピットが搭載される見込みであり、さらに製造分野においてもファーウェイの技術やノウハウが導入され、開発効率や生産品質の向上が図られるとみられます。
協業の深さという観点では、このモデルは、ファーウェイが製品定義や販売まで深く関与する「鸿蒙智行(HarmonyOS)」とは異なり、また従来のようにセンサーやレーダーなどの部品を調達するだけの関係とも異なります。いわばその中間に位置する形態であり、ファーウェイが中核となるスマート化技術および一部のシステム能力を提供し、車両メーカーはブランド、製品定義、製造、販売の主導権を維持するという構造となっています。
この点こそが、今回の協業における最大の特徴です。紅旗は「三智双智」を選択することで、「界」シリーズのような「鸿蒙智行」体系には加わらず、ファーウェイの販売チャネルにも組み込まれません。一方で、自社ブランドの独立性を維持したまま、ファーウェイの成熟したスマート化技術を取り込むことが可能となります。言い換えれば、紅旗はスマート化の遅れを補う一方で、ブランド主導権は維持する戦略を採っているといえます。
ファーウェイ最新の協業モデル

出典:MobyInfoまとめ
なぜ紅旗は「三智双智」を選択したのか
紅旗の立場から見れば、この選択は合理的です。
まず、紅旗は一汽傘下の高級ブランドであり、象徴性とブランド独立性を強く持つ存在であるため、ファーウェイが主導する「鸿蒙智行」のような体系に全面的に組み込まれる可能性は高くありません。一方で、電動化とスマート化の競争が急速に進む中、特に高度運転支援やコックピット領域においては、短期間での能力補完が求められていました。
そのため、「三智双智」は、成熟した技術を迅速に導入しつつ、自社のブランドと主導権を維持できる折衷的な解決策となります。紅旗にとっては、ブランドポジションを維持したまま競争力を高めるための現実的な選択といえます。
まとめ
総じて、今回の「H+H」協業は、単に新型車にファーウェイの技術が搭載されるという点にとどまらず、ファーウェイのスマートカー戦略における現在の位置付けを示すものでもあります。すなわち、ファーウェイは単なる部品サプライヤーでもなく、また常に「鸿蒙智行」のように深く関与する存在でもなく、車両メーカーごとのニーズに応じて、全スタック協業から技術パッケージ提供、さらには部品供給まで、多層的な協業モデルを提示するプレイヤーとなりつつあります。
そして紅旗の選択は、多くの伝統的自動車メーカーが「ブランド主導権の維持」と「スマート化能力の迅速な強化」の間でバランスを模索していることを示しています。今後、これらのモデルが市場に投入されるにつれ、こうした分層型の協業構造は、中国のスマートカー市場における競争の重要な要素となる可能性があります。