IACC起動後に両手を離し40秒後に追突――長安啓源A07事故の調査報告公表、一家3人死亡

昨年発生した先進運転支援システム(ADAS)関連の交通事故が、あらためて大きな注目を集めています。

江西省贛州市応急管理局は5月21日、「贛州瑞金・済広高速『10・2』重大道路交通事故調査報告」を公表しました。報告によると、2025年10月2日午前4時ごろ、江西省瑞金市内の済広高速道路1408km+721m地点で、長安啓源(Chang’an Nevo)のA07セダンが、高速道路の走行車線内に故障で停止していた大型セミトレーラーに追突しました。この事故により、乗用車に乗っていた3人全員が死亡しました。

調査報告によれば、事故前日の10月1日未明、貨物を積載した大型トラックが追い越し中にエンジン停止を起こし、最終的に左側走行車線内で立ち往生しました。トラックの運転手は路肩からカラーコーンを拾い集め、車両後方に4本設置して警告措置を講じたとされています。

その後、後方から走行してきた長安啓源A07が同トラックに追突しました。

調査報告によると、追突前、A07の運転者である張氏は車両のIACC(統合型アダプティブ・クルーズ・コントロール)機能を自ら起動し、車両を運転支援モードに切り替えたうえで、両手をステアリングから離していました。

EDR(イベント・データ・レコーダー)の記録では、IACC起動後の13秒間にわたり、運転者がステアリングを握っていなかったことが確認されました。その後、車両は高速走行状態のまま、左側走行車線内に停止していた大型セミトレーラーの後部に衝突しました。この事故で乗用車の乗員3人(運転者本人とその両親)が死亡し、両車両が損傷しました。

また、衝突直前まで運転者によるアクセル操作やブレーキ操作は確認されませんでした。IACCを起動してから衝突までの時間は約40秒でした。

事故調査チームは、故障したトラックが技術基準を満たしていない状態で運行されていたことに加え、故障後に高速道路の走行車線内で停止し、規定に基づく警告表示や通報が十分に行われなかったことが、事故の重要な要因の一つであると指摘しました。

一方で、長安啓源A07についても、夜間に運転支援システムを使用して走行中、前方の状況を適切に認識できず、有効な回避措置を講じられなかったことが、事故発生の重要な要因の一つであると認定しました。

事故調査報告の公表後、あらためて当該車両の運転支援システムの性能に注目が集まっています。夜間に静止障害物へ衝突した点について、長安啓源側は6月2日、事故車両は2024年型のA07であり、旧世代のIACCシステムを搭載していたこと、またLiDAR(レーザーレーダー)は装備していなかったと説明しました。

同社は、IACCは高速道路や道路状況が良好な環境での使用を前提とした機能であると説明しています。一方で、事故発生直前に車両が自動ブレーキや減速動作を行ったかどうかについては、明確な回答を避けました。

現在の中国の交通法規では、運転支援機能の使用中に発生した交通事故について、自動車メーカーが直接的な責任を負う仕組みにはなっていません。一方で、中国では各メーカーが自社の運転支援技術の先進性を強調するマーケティングを展開しており、その宣伝内容を過信した一部のドライバーが重大な事故に巻き込まれるケースも発生しています。

長安啓源A07

写真:長安啓源

追突事故の様子

写真:インタネットより

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