中国の道路維持管理財源に危機――資金不足率50%、4割の道路が修繕困難

新エネルギー車(NEV)の普及が加速するなか、中国の道路維持管理財源を支える既存制度が新たな課題に直面しています。近年、「ガソリン車とEVの公平負担」や走行距離課金、道路利用料をめぐる議論が活発化しています。

中国メディア「第一財経」が6月8日に報じたところによると、中国では有料道路と一般道路の双方で維持管理資金の不足が深刻化しています。江西財経大学財政税務学院の高琳教授によれば、2021年の全国有料道路の総支出は1兆2909.3億元に達した一方、通行料金収入で賄えたのはその約半分にとどまり、収支不足額は6279億元近くに上りました。

2013年から2021年にかけて、元本返済・利払い、維持、運営の3項目の支出は、有料道路総支出の平均93.8%を占めました。しかし、このうち元本返済・利払いだけで79.37%を占め、その比率は年々上昇する傾向にありました。これとは対照的に、維持費の割合は2013年の9.0%から2021年には5.7%まで継続的に低下しました。

一方、一般道路は通行料金収入がないため、維持管理財源の大部分を中央政府による石油製品消費税の地方交付金に依存しています。しかし、ガソリン車の増加ペースが鈍化し、NEVの保有台数が拡大するなかで、従来の燃料税収基盤は縮小しつつあります。

現在、中国の一般道路における年間維持管理資金の不足率は約50%に達しており、全国の一般道路の約40%が「維持管理対象に指定されているものの予算がなく、修繕が必要でも実施できない」状態に置かれています。

こうした「維持管理資金不足率50%」「一般道路の約40%が十分な維持管理を受けられない」という現状を受け、中国メディア「界面新聞」は、中国人民大学財政金融学院の李戎教授と、全国乗用車市場情報連席会(CPCA)幹事長の崔東樹氏に取材を行いました。

界面新聞が6月12日に報じた内容によると、両氏は現在の道路維持管理財源の不足について、「NEVが無料で道路を利用していること」だけが原因ではなく、道路網の拡大、維持管理コストの上昇、有料道路の債務負担、さらには既存の財税制度の遅れなど、複数の要因が重なった結果であると指摘しています。

崔氏は、NEV普及率の上昇はあくまで副次的な要因であり、本質的な問題は従来の道路財源制度が現在の交通・自動車市場の実態に適応できなくなっている点にあると述べました。

一方、李氏は、単一のエネルギー関連税収に依存する現行の資金調達モデルでは、自動車のエネルギー源の多様化や維持管理費の継続的な増加に対応できなくなっていると指摘しています。

制度改革の方向性については、複数の専門家が、エネルギーの種類に依存せず、道路の実際の利用状況に応じて負担を求める新たな仕組みの導入を提案しています。

崔氏は、「走行距離+車両重量+車種・使用状況」を組み合わせた総合課金制度の構築を提唱しています。利用頻度の高い営業車両や大型車には高い負担を求める一方、一般家庭の自家用車については低い料金水準を適用すべきだとしています。

また、李氏も、将来的には全国共通の走行距離課金プラットフォームを整備し、年間走行距離と車両重量に応じて道路維持管理費を徴収する仕組みを段階的に導入すべきだと提案しています。

ただし、専門家らは、こうした改革を単純な「増税」と捉えるべきではないと強調しています。

李氏は、改革は「税負担の付け替え(税負担平移)」を原則とすべきであり、道路利用料を導入する一方で、道路維持管理に充てられている燃料消費税部分を縮小し、道路利用との関連性が低い自動車・船舶税についても見直すことで、一般家庭の自動車利用コストが大幅に上昇しないよう配慮すべきだと述べています。

崔氏もまた、公平な負担、段階的な移行、民生への配慮、利用実態に応じた区分という原則を重視すべきだと指摘しています。そのうえで、まずは道路利用頻度の高い営業車両を対象に試行し、その後、段階的に対象範囲を拡大することが望ましいとの考えを示しました。

NEVの普及拡大と道路維持管理財源の逼迫を背景に、中国の道路課税制度は大きな見直しの局面を迎えています。今後の改革の焦点は、単に自動車利用者の負担を増やすことではなく、異なる動力源の車両を対象に、より公平で持続可能な道路維持管理財源の仕組みを再構築できるかどうかにあります。

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