中国・海南省、2030年にガソリン車の新車販売を禁止へ 他地域のモデルケースとなるか

 7月3日、海南省政府は「『第15次5カ年計画』海南国家生態文明試験区計画(『美しい海南』建設『第15次5カ年計画』)」(以下、「計画」)を公表しました。同計画では、2030年からガソリン車の新車販売を段階的に禁止する方針を示すとともに、新エネルギー車(NEV)の保有比率を2025年の23.75%から2030年までに45%へ引き上げる目標を掲げています。

 計画で対象となるのは、あくまでガソリン車の新車販売の禁止であり、既存車両の走行禁止ではありません。特殊用途車両を除き、公共サービス・事業用分野で新たに導入・更新される車両は100%クリーンエネルギー車とし、個人向けでも新規購入・買い替え車両は100%NEVとする方針です。一方、すでに登録されているガソリン車については、引き続き法令に基づいて使用でき、車検や名義変更も可能で、既存車両の強制的な廃車は行われません。

 海南省によるガソリン車の新車販売禁止は、今回初めて打ち出されたものではありません。2019年に初めて2030年を目標とする方針を公表した後、「海南省カーボンピークアウト実施方案」や「海南省総合立体交通網計画要綱」にも盛り込まれ、今回の「第15次5カ年計画」にも改めて明記されました。長年にわたり一貫して推進されてきた政策であることがうかがえます。

 近年、海南省ではNEV市場が急速に拡大しています。2025年のNEV市場浸透率は62.9%と全国首位となり、2026年4月には74.5%まで上昇しました。現在、NEV保有台数は約54万4,600台で、自動車保有台数全体の約24%を占めています。2025年末時点では公共分野の車両のクリーンエネルギー化がほぼ完了しており、省内には5,855カ所の充電ステーションと約7万3,000基の充電器が整備され、車両と充電器の比率は約2.1対1となっています。

 海南省は、2030年からのガソリン車の新車販売禁止を明確に打ち出した中国初の省となります。一方で、省内の自動車市場規模は比較的小さいことから、今後の政策運用は、NEVの普及や充電インフラの整備、電力系統の運用、従来型エネルギー供給サービスの転換などの面で、他地域にとっての参考事例になるとみられます。

 また、計画では2030年までに新エネルギー発電設備容量比率を55%、非化石エネルギー消費比率を35%まで高めることや、車両と充電設備の比率を2.5対1以下に維持することを目標として掲げています。あわせて、燃料電池車の実証・普及も推進する方針です。さらに、海南省は「海南自由貿易港新エネルギー車発展促進条例」の立法作業も進めており、関連施策を地方条例として制度化する方向で検討しています。

 一方、この政策を巡っては、中国のインターネット上でさまざまな反応も見られます。あるネットユーザーは、「海南ではこれまで数多くの計画が打ち出されてきたが、長期的に成功したものはほとんどない。市場は行政の思い通りには動かない」とコメントしました。

 また、別のネットユーザーからは財政面を懸念する声も上がっています。海南省では高速道路の通行料金が無料で、その維持管理費はガソリン価格に反映されているとされています。そのため、「ガソリン車の新車販売が禁止されれば、道路の維持・補修費用をどのように確保するのか」と疑問を呈する意見も見られました。

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