米議会、中国製コネクテッドカー規制を法制化へ――「迂回輸出」も視野に封じ込め強化

米国時間5月11日から12日にかけて、米連邦議会の超党派議員らは、中国製コネクテッドカー(Connected Vehicle)に対する新たな規制強化に向けた動きを相次いで進めました。126人の下院議員が連名でトランプ前大統領に書簡を送り、今後予定される米中首脳会談において、中国車の米国市場参入を交渉材料として扱わないよう求めたほか、ミシガン州選出の超党派議員らは「コネクテッド・ビークル安全保障法案(Connected Vehicle Security Act)」を正式に提出しました。法案は、中国と関係するコネクテッドカーおよび関連ソフトウェア・ハードウェアの米国市場への流入を、法制化によって包括的に制限することを目的としています。

同法案は、共和党のジョン・ムレナー下院議員(John Moolenaar)と、民主党のデビー・ディンゲル下院議員(Debbie Dingell)が共同提出しました。ムレナー議員は現在、米下院「中国特別委員会」の委員長を務めており、ディンゲル議員は長年にわたり米自動車産業の中心地であるミシガン州を地盤としています。法案の内容は、これまで上院の超党派議員らが提案してきた内容とほぼ一致しており、その主眼は、バイデン政権時代に「国家安全保障」や「データ安全保障」を理由として導入されたコネクテッドカー規制を、正式に法律として固定化する点にあります。

法案によれば、中国関連のコネクテッドカー向けソフトウェアは2027年1月1日から米国市場への流入が禁止され、2030年1月1日からは対象がハードウェア分野にも拡大されます。対象国は中国だけでなく、ロシア、北朝鮮、イランも含まれています。

ここでいう「コネクテッドカー」とは、インターネット接続機能を持ち、無線通信技術を通じて他車両やインフラ、クラウドシステムなどとデータ通信を行う車両を指します。近年は高度運転支援システム(ADAS)や車載通信、OTA(無線アップデート)などの普及が進み、自動車は実質的に高度なデジタルデータ端末としての性格を強めています。

もっとも、現時点で中国車の米国市場における実際の浸透率は限定的です。米国はすでに中国製EVに対して100%の追加関税を課しているほか、重要部品や電池サプライチェーンにもさまざまな制限措置を導入しており、中国ブランドの乗用車が米市場へ直接参入するハードルは極めて高い状況にあります。

そのため、今回の立法推進の狙いは、現在の市場シェアへの対応というよりも、将来的な中国勢との競争を事前に封じ込める点にあるとみられています。

近年、中国の新エネルギー車輸出は拡大を続けています。中国ブランドは欧州市場でシェアを着実に高めており、ノルウェー、英国、スペイン、イタリアなどでは一定規模の存在感を示しています。また、中国メーカーは東南アジア、中東、中南米などでも生産・販売体制の構築を加速させています。

こうした中、米政界では、中国メーカーが将来的にメキシコやカナダなど北米地域に生産拠点を設け、さらにUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を活用して米市場へ参入する可能性への警戒感が強まっています。米国内では、それによって自国自動車産業がより直接的な競争圧力にさらされるとの懸念が広がっています。

このため、今回の法案では、「中国本土で生産された車両」に限定せず、「中国と関係を有するコネクテッドカー」全般を規制対象とする点が強調されています。つまり、将来的に中国メーカーがメキシコやカナダで現地生産を行った場合でも、車両のソフトウェアシステム、データプラットフォーム、主要サプライチェーンなどが中国企業と関連していれば、米国側の審査・規制対象となる可能性があります。

153

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です