BYD、4 月ブラジル小売車市場でフォルクスワーゲンを抜き、初の月間首位獲得

4月、BYDはブラジル自動車小売市場(ディーラー向け直接販売)において販売台数1万4911台で首位に達し、初めて月間実績でフォルクスワーゲン(1万4832台)を上回り、市場占有率は12.8%となりました。これはブラジル市場への進出から5年未満の中国自動車メーカーが、数十年にわたりラテンアメリカ市場で事業を展開してきた欧州の老舗自動車メーカーを、小売部門で初めて上回った事例です。
統計結果によると、BYDが1万4911台(占有率12.8%)、フォルクスワーゲンが1万4832台、フィアットが1万3200台、シボレーが1万1500台、ヒュンダイが1万800台となっています。
主力車種の販売実績を見ると、純電気自動車の「DOLPHIN(ドルフィン)」は4月の販売台数が5900台に達し、3か月連続でブラジルの単一車種小売販売台数ランキング1位を記録しました。また、「宋」シリーズのハイブリッド車は同期に4100台を販売し、この2車種の合計販売台数は、BYDの当月小売販売総数の約67%を占めています。
ただし、メーカーが自ら積極的に公表しない注意点を一つ挙げます。今回の「首位」には、把握しておくべき統計集計基準の違いが存在します。
今回の順位は純粋な小売チャネル(ディーラー向け直接販売)を対象としたものです。小売販売に加え、レンタカー会社や運送事業者向けなどのBtoB直接販売チャネルを合算した総合市場では、BYDの順位は5位となり、フィアット、フォルクスワーゲン、ゼネラルモータース、ヒュンダイが上位を占めています。
一方、この結果は別の事実を示しています。BYDのブラジル市場における販売基盤は、主に個人消費者の購入に支えられているということです。しかし、法人向け直接販売・企業一括購入・地方市場といった分野においては、BYDの市場シェアは依然としてフィアット、フォルクスワーゲン、ゼネラルモータース、ヒュンダイを下回っています。
2026年1月から4月までのBYDのブラジルにおける累計登録台数は5万6000台で、2025年同期の3万台に対し、前年比86%の増加を記録しています。2024年の年間販売台数は7万6700台、2025年第1四半期の販売台数は約2万台、2026年第1四半期は3万7600台まで増加しています。ブラジルは既にBYDにとって海外最大の単一市場となっています。
現地生産体制については、BYDはバイア州カマサリ市に生産工場を設置し、2025年7月に初号車の生産を開始しました。同工場は年間15万台の生産能力を計画しており、「Seagull(シーガル)」「駆逐艦05」「宋Pro」などの車種を製造しています。2026年4月現在、5万台を超える完成車が同工場から生産出荷されています。同工場の従業員数は4100人超で、新たに1600人を採用して3交代制の生産ラインを整備し、24時間体制の連続生産を目指しています。また、プレス・溶接・塗装の各生産棟が間もなく稼働予定で、現地一貫生産体制を完全に整備し、生産能力と納品体制の強化を進める計画です。
2026年1月31日、ブラジル政府は中国製電気自動車のノックダウン部品輸入に対する関税免除措置を廃止し、SKD(半完成車組立)・CKD(完全部品組立)キットの関税率を16%~18%から35%に引き上げました。BYDは現地生産体制を構築しているため、関税引き上げの影響を回避できたのに対し、輸入部品による組立生産に依存する競合メーカーは大幅なコスト上昇の圧力を受けています。ブラジル市場は長年エタノール燃料車が普及しており、消費者は実用性の高い車種を選好する傾向にあります。「宋」シリーズのハイブリッド車は現地の使用環境に適応しており、純電気自動車のような航続距離の不安がなく、現地の市場ニーズに適合しています。
4月の小売市場首位獲得は、BYDのブラジル市場における一つの節目となる実績であり、製品の適合性と現地展開の初期的な成果を示すものです。一方で、この実績が同社の市場主導的地位の確立を意味するわけではありません。今後2~3年の安定的な納品能力、販売チャネルの拡大状況、各国政策への対応力が、BYDが現在の市場地位を維持・定着できるかどうかを左右します。