BYD、欧州自動車製造者協会(ACEA)に加盟申請 中国勢の存在感拡大が背景

BYDが、欧州の主要な自動車業界団体である欧州自動車製造者協会(ACEA)への加盟を申請し、現在、協会側と協議を進めていることが明らかになりました。4月17日にブルームバーグが関係者の話として報じたところによると、申請はすでに正式に提出されており、最終判断はまだ下されていません。承認されれば、同社は中国の自動車メーカーとして初めて同協会に加盟することになります。
ACEAはベルギー・ブリュッセルに本部を置き、欧州の主要メーカーに加え、フォードやホンダなどの多国籍自動車メーカーを含む17社で構成される業界団体です。政策提言や規制対応において一定の影響力を有しており、加盟することで企業にとって欧州市場における発言力の強化につながるとみられています。
今回の動きの背景には、欧州市場における競争環境の変化があります。欧州では電動化の進展に伴い市場構造が変化しており、中国メーカーの存在感が高まっています。ACEAが4月2日に公表したデータによれば、2025年に欧州連合(EU)が輸入した中国製自動車は前年比30.7%増の100.6万台に達し、初めて100万台を突破しました。中国ブランドの市場シェアも前年の5%から7%へと拡大しています。
特にEVおよびPHEVの分野において、中国メーカーはコスト競争力と製品ラインアップの優位性を背景にシェアを拡大しています。一方、日本および韓国メーカーの市場シェアはそれぞれ4%、3%にとどまり、伸びは限定的となっています。
こうした中、BYDの販売動向にも変化が見られます。2026年2月には、欧州市場における新規登録台数が1万7954台となり、テスラをわずかに上回りました。これは、同社が展開する低価格帯EVを含む製品戦略が、欧州市場において一定の競争力を持ち始めていることを示すものといえます。
また、販売ネットワークの拡充も進められています。報道によれば、BYDの幹部は、同社が2025年末までに欧州で約1000拠点の販売網を構築し、さらに2026年末までにこれを倍増させる計画であると明らかにしています。
ただし、中国メーカーの欧州展開は順風一辺倒ではありません。欧州連合は中国製電気自動車に対する追加関税措置を導入しており、価格競争力には一定の制約も生じています。このため、BYDは現地生産体制の構築を進めており、ハンガリーにおける工場建設を推進しています。計画では2026年第2四半期の量産開始を目指しており、関税回避と供給体制の強化を図る考えです。Chery(奇瑞汽車)もスペイン・バルセロナで完成車の組立事業を開始しており、現地生産による市場対応を進めています。こうした動きは、関税回避に加え、欧州の産業政策への適応を意識したものとみられます。
BYDのACEA加盟申請は、単なる業界団体への参加にとどまらず、中国メーカーが欧州の制度やルール形成に関与しようとする動きとして位置付けられます。今後は、加盟の可否はもちろんのこと、中国メーカーの欧州市場における競争力の持続性や、現地化戦略の進展が、欧州自動車産業の構造変化にどのような影響を与えるのかが注目されます。