ロータス、全面EV化を撤回――V8復活とガソリン車再強化で「マルチパワトレイン路線」へ転換

5月13日、Geely(吉利)傘下の英国スポーツカーブランドであるLotus(ロータス)は、新戦略「Focus 2030」を正式に発表し、これまで掲げていた「2027〜2028年までの全面EV化」目標を撤回しました。今後は、ガソリン車、ハイブリッド車、EVを並行展開するマルチパワートレイン戦略へと転換します。
ロータス・グループCEOの馮擎峰氏が社内向けに発表した戦略文書によりますと、同社は今後、純電動路線への全面集中を行わず、ガソリン車、プラグインハイブリッド車、EVを併存させ、市場環境が十分に成熟した段階で改めて全面電動化を検討する方針です。同時に、経営戦略についても、従来の販売台数拡大重視から、収益性とブランド価値をより重視する方向へと軸足を移します。
新戦略の重要な柱として、ロータスは今後数週間以内に新型ガソリンスポーツカー「Emira 420」を投入する予定です。これにより、これまで「ブランド最後の内燃機関モデル」と位置付けられていたEmiraは、燃油時代の終着点ではなくなります。また、新開発のV8ハイブリッドシステムを搭載するフラッグシップスーパーカー「Type 135」についても、2028年の発売が正式に決定しました。ロータスがV8パワートレインを採用するのは、2004年に「Esprit」が生産終了して以来となります。
ロータスは1948年に創業し、かつてはPorscheやFerrariと並び、「世界三大スポーツカーブランド」の一角として知られてきました。2017年にGeelyの傘下入りを果たした後は、電動化・知能化への転換を本格化。2018年には「Vision 80」と呼ばれる10カ年復興計画を打ち出し、ブランド創立80周年にあたる2028年までの全面EV化を目標に掲げました。
その後、同社はEVハイパーカー「Evija」、電動SUV「Eletre」、電動4ドアGT「Emeya」を相次いで投入し、2021年の広州モーターショーではEmiraを「最後のガソリン車」と位置付けていました。
しかし、市場の実際の動きは当初想定していたペースでは進みませんでした。特に超高級スポーツカー市場では、電動化の進展が一般市場よりも大幅に遅れています。高性能スポーツカーの顧客層では、エンジンサウンド、機械的な操縦感覚、軽量なドライビングフィールへのこだわりが依然として強く、こうした価値はEVでは完全に代替しにくいとされています。
加えて、欧米市場におけるEV補助金縮小、新エネルギー車市場の成長鈍化、さらには世界経済環境の変化も重なり、高級EV市場の需要は当初想定を下回る状況となっています。
こうした中、財務面での圧力もロータスの戦略修正を後押ししました。
ロータスが発表した2025年通期決算によりますと、年間販売台数は6520台にとどまり、前年比約46%減となりました。このうちスポーツカー販売は62%減、大衆向けモデルも33%減となっています。欧州や北米など主要海外市場では販売がほぼ半減し、中国市場のみが小幅な成長を維持しました。
販売低迷の影響により、2025年の売上高は前年比44%減の約5.2億ドルとなりました。
一方で、研究開発費、販売費、管理費などの削減を進めた結果、純損失は前年比58%減の4.6億ドルまで縮小しました。ただし、2021年から2025年までの累計赤字は依然として31億ドルを超えています。同社は長年にわたり外部資金調達に依存しており、その大半は吉利グループ内部からの支援によるものです。
こうした背景の中、ロータスは実際には2024年から戦略修正を開始していました。当時、同社は「X-Hybrid」ハイブリッドアーキテクチャを発表し、「EV+ハイブリッド」の二本柱戦略を明確化していました。今回、ガソリン車開発の継続を正式に打ち出したことで、その方針修正がさらに明確になった形です。
最新計画では、今後の製品構成はプラグインハイブリッド車が約60%、EVが約40%となり、ガソリン車は高性能モデルとして補完的に存続する見通しです。
また、ロータスは2030年までに年間販売3万台を達成し、2027年の黒字化実現を新たな経営目標として掲げています。このため、英国の伝統的なロータス事業と、上場主体であるLotus Technologyとの統合も進めており、ブランド統一、ガバナンス簡素化、コスト削減を通じて経営効率の向上を図る方針です。
注目されるのは、ロータスが唯一の「純電動化路線修正組」ではないという点です。
ここ2年ほどで、多くの伝統的高級車・スーパーカーブランドが、従来掲げていた急進的なEV化計画を見直し始めています。
Ferrariは2030年時点のEV比率目標を40%から20%へ引き下げ、初のEV投入時期も延期しました。LamborghiniはEV GT「Lanzador」の量産計画を取りやめ、再びプラグインハイブリッド路線へ回帰。Bentleyも複数のEV開発計画を停止し、都市型SUV1車種のみを残しました。さらにRolls-Royce Motor Carsは、V12エンジンを2035年以降も継続生産する方針を明確にしています。
加えて、Porsche、Audi、Mercedes-Benz、Ford、GM、Stellantis、Hondaなど主要メーカー各社も、近年相次いでEV目標を下方修正し、ハイブリッド車やレンジエクステンダー車、ガソリン車の強化へと舵を切っています。