BYD、Stellantisなど欧州車メーカーの遊休工場買収計画を認める

5月中旬、BYDが欧州で既存自動車メーカーの遊休工場の取得を模索しているとの報道が、自動車業界で注目を集めています。複数のメディアによりますと、BYDの執行副総裁である李柯氏はインタビューの中で、同社が現在、Stellantisをはじめとする欧州自動車メーカーと接触し、一部工場の買収や運営引き継ぎの可能性について協議を進めていることを明らかにしました。5月14日、BYD側も中国メディアに対し、報道内容が事実であることを認めたものの、詳細については現時点で明らかにしていません。

現在、BYDはイタリアを含む複数の欧州諸国で工場資産の調査を進めています。李氏は、「Stellantisだけでなく、他の欧州メーカーとも協議している。既存の遊休生産能力を活用したいため、欧州で利用可能な工場を幅広く探している」と説明しました。

また、外部から注目を集めている、イタリア中部に位置するStellantisのCassino工場については、BYD側は直接的な言及を避けたものの、李氏は「欧州の多くの工場を視察した」と述べています。同工場は近年、生産稼働率の低迷が指摘されています。

現時点で明らかになっている情報を見る限り、BYDの欧州戦略の重点は、大規模な新工場建設ではなく、既存工場の取得・活用による現地生産体制の早期構築にあるとみられます。この方式であれば、工場建設にかかる時間を短縮し、欧州域内での供給能力を迅速に確保できるほか、物流費や関税、貿易障壁などに伴うコスト負担の軽減にもつながります。

さらに李氏は、BYDとしては合弁方式よりも、独立運営を志向している点を強調しました。生産管理、サプライチェーン統制、品質基準の統一といった面で、「独立運営のほうが容易である」との認識を示しています。この方針は、Stellantisが近年、Leapmotorとの間で進めている欧州協業モデルとは対照的です。

Stellantisはすでに、Leapmotorとの提携拡大を発表しています。両社の計画では、Stellantis傘下のスペイン工場2拠点で、LeapmotorのEVを生産する方針です。こうした動きは、欧州メーカーが生産過剰への対応策として、中国系EVメーカーに対して製造リソースを開放し始めている兆候とも受け止められています。

実際、現在の欧州自動車産業は大きな経営圧力に直面しています。欧州メーカー各社は、高い人件費やエネルギー価格の上昇、市場競争の激化などの影響を長期的に受けている一方、内燃機関車の需要鈍化によって、一部工場では稼働率低下や遊休化が進んでいます。こうした環境下で、中国の新エネルギー車メーカーとの協業は、一部欧州メーカーにとって現実的な選択肢となりつつあります。

一方、中国メーカー側にとっても、欧州域内での現地生産の重要性は急速に高まっています。EUによる中国製EVへの追加関税措置に加え、欧州市場ではサプライチェーンの現地化要求も強まっており、中国からの輸出依存モデルだけでは対応が難しくなりつつあります。そのため、既存工場を活用した現地生産体制の構築は、中国メーカー各社にとって重要な戦略テーマとなっています。

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