2024年新エネルギー車市場、平均1.8万元値下げで競争激化 電池メーカーとの協力がコスト削減の鍵に

近年、新エネルギー車(NEV)市場の競争が激化し、価格競争は業界の常態となっています。全国乗用車市場情報連席会(乗聯会)のデータによると、2024年に値下げされた車種は227モデルに上り、そのうち新エネルギー車の新車値下げ幅の平均は1万8000元(約36万円)、値下げ率は9.2%に達しました。一方、従来の内燃機関車(ICE)の新車値下げ幅の平均は1万3000元(約26万円)、値下げ率は6.8%でした。値下げの背景には、自動車メーカーの利益率の大幅な低下があります。2024年の自動車業界の利益は4623億元(約9兆2460億円)で、前年比8%減少し、業界の利益率は4.3%にとどまり、工業企業の平均利益率6%を下回りました。

新エネルギー車の価格下落は、メーカーにコスト削減と効率化の追求を迫っています。電気自動車(EV)のコア部品である動力電池のコストは車両全体の40%以上を占めるため、電池分野での協力がメーカーのコスト削減の鍵となっています。

動力電池業界の集中度は新エネルギー車業界よりもはるかに高いため、自動車メーカーは電池メーカーに対する価格交渉力が弱く、コスト削減に大きな課題を抱えています。このため、自動車メーカーは電池メーカーと協力して動力電池を共同開発し、自社製品に適した電池を製造することで、差別化された競争優位性を築くことが重要視されています。

2023年以降、自動車メーカーと電池メーカーの協力はさらに深化しており、現在ではBAIC(北汽)、Li Auto(理想)、NIO(蔚来)、Chang’an(長安)などがCATL(寧徳時代)と協力関係を結んでいます。協力範囲は、電池供給、技術開発、海外市場展開、バッテリー交換技術など多岐にわたります。

2024年に入り、SAIC(上汽)もCATLと協力して動力電池を共同開発することを発表しました。その後、フォルクスワーゲンの中国R&DセンターVCTC(大衆(中国)科技有限公司)もCATLと覚書を交わし、新エネルギー車の主要コンポーネントを共同開発し、コスト競争力のある電池製品を提供する計画を明らかにしました。さらに、フォードもCATLとの戦略的協力を深化させ、北米市場向けに次世代動力電池技術を共同開発することを発表しました。

「中国自動車動力電池産業イノベーション連盟」のデータによると、2024年の国内動力電池メーカーの累積搭載量は約548GWhで、そのうちCATLとBYDがそれぞれ45.1%と24.7%の市場シェアを占め、両社で市場の約7割を握っています。BYDが主に自社供給しているのを除き、ほとんどの自動車メーカーがCATLの動力電池を採用しています。

業界アナリストは、動力電池分野では構造的な供給過剰が生じているものの、高品質な生産能力は依然として不足しており、自動車メーカーはサプライチェーンの安定性と価格変動の影響を抑えるため、主要電池メーカーとの協力を選好していると指摘しています。

また、一部の自動車メーカーは上流の電池セル分野に進出し、電池技術の主導権を握ろうとしています。しかし、業界関係者によれば、自動車メーカーが特定地域で50万台以上の生産規模、または電池生産規模が15GWh以上に達しない限り、自社生産によるコスト優位性は得られないとされています。したがって、短期的には電池メーカーとの協力関係が、自動車メーカーのコスト削減と効率化の主要な戦略となっています。

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