ファーウェイADSがASIL D認証を取得、ビジネスモデルは自動運転ソリューションをパッケージ化して自動車メーカーに販売?
前回の記事で、2月13日、ファーウェイのMDCスマート運転コンピューティングプラットフォームがドイツの技術検査協会のTÜVが発行したISO26262機能安全管理認証証書を取得したことを紹介した。
わずか2月後、ファーウェイの高度自動運転フルスタックソリューションのAutonomous Driving Solution (ADS)の研究開発プロセスも、ドイツの技術検査協会のTÜVが発行したASIL D認証を取得した。これは、世界の電子部品サプライヤーが自動車業界に参入するための資格の1つだ。今回取得したASIL D認証は、ISO 26262自動車機能安全規格の認証だ。
2019年の上海モーターショーの期間中、ファーウェイの高度自動運転ソリューションADSが正式に公の目に触れた。
同社の公式説明によると、ADSはファーウェイが中国の道路と交通環境のために設計し、ユーザーの運転体験を目標とするフルスタック自動運転システムだ。これはチップ、アルゴリズム、データなど複数の階層の能力を統合したスマート運転の包括的なソリューションだ。 L2+~L4レベルのさまざまな自動運転要件に対応する柔軟な機能と機能の組み合わせをサポートしている。
チップについては、ADSは独自の高計算力の自動運転SoCプロセッサを搭載し、マルチセンサーからのデータの高速処理と複雑な規則に基づく行動制御を実現している。アルゴリズムについては、独自のコアアルゴリズムを使い、中国の都市道路、高速道路、市街地駐車などの複雑な走行シーンに対して最適化計算を繰り返している。データについては、自動車メーカーや他のパートナーと共同で大規模な道路走行チームを設立し、豊富な走行シーンに基づく道路走行データを蓄積し続け、ドライビングシステムが自律的な最適化を継続している。
ファーウェイのスマート自動車ソリューション部門総裁の王軍氏は、「ファーウェイが現段階で行っているのは未来のスマート自動車の基礎業務であり、つまりファーウェイのチップに基づき、チップとオペレーティングシステムを中心にスマート自動車の部品を作り、自動車メーカーに『良い車を作ること』を支援することだ」と述べた。
王氏は、中国の道路事情の複雑さ、走行シーンの複雑さ、ドライバーの運転マナーはいずれもスマート運転により厳しい要求を課しているとの見方を示した。そのため、スマート運転は、ステップ・バイ・ステップで異なる走行シーンのニーズに応えることで実現しなければならない。これは実践と技術の積み重ねが必要なプロセスだ。
王氏の説明によると、ファーウェイのADS推進案には主に3つの次元がある。
第一に、商業化の次元であり、市場価値をもって実用化し、ストレスのないスムーズな体験を提供しなければならない。スマート運転はまず、自動駐車、都市部の渋滞追従、構造的に危険な道路への対応など、重要な走行シーンを認識しなければならない。
2つ目は技術の次元で、自動運転を実現するには、高い計算力を持つチップやレーザーレーダーなどのコア技術が必要だ。ファーウェイのソリューションは、解像度64本以上、測定距離150メートル以上、視野角120度以上のレーザーレーダーが推奨スペックとなっている。
3つ目は産業の次元で、ファーウェイは「増量部品」(新たに追加されるICT部品)のサプライヤーとして、産業パートナーと提携する。
しかし、ファーウェイの自動車分野での布石が整うにつれ、業界では、ファーウェイの自動運転技術が一体どのように産業チェーンに組み込まれるかに関心を寄せている。世間では、センサーハードウェアをパッケージ化して販売するか、それとも部品単体で販売するのかについての憶測も聞こえている。
ITメディアの雷鋒网はこれらの憶測に対して、学界、産業界の5人の有識者にインタビューしたところ、比較的に共通の意見が得られた。彼らはファーウェイには現在2つの選択肢があると考えている。 第一に、レーザーレーダーとミリ波レーダーなどのセンサーとチップ、アルゴリズム、システム、データなどを上位のフルスタックスマート運転ソリューションに統合し、全体的にパッケージ化して完成車メーカーに提供すること、2つ目は、Waymoのように、センサーハードウェアを選択的に対外販売することだ。
ある自動運転企業の製品責任者は、「前者の可能性は比較的大きい。自動運転のような複雑な技術について、ファーウェイがチップ、システム、アルゴリズムのうちの1つだけをパートナーに提供すると、今後の業務で受動的な立場に立たされてしまう。彼らはシステムの適合性、親和性などの問題を考慮しなければならない」と述べた。