神州レンタカーの栄枯盛衰を振り返る
2007年、創業者の陸正耀氏はレンタカー市場に進出し、神州レンタカー(神州租車控股有限公司)を設立した。
2008年、神州レンタカーは急速に業務を拡大し、規模はEHICレンタカーを抜いて全国2位となった。
2010年、Lenovo Holdingの劉二海氏が資本注入したことに伴い、神州レンタカーは30‐50%の値下げ幅で価格競争を仕掛け、シェア拡大を続けた。
2012年、Warburg Pincusアジア太平洋地区総裁の黎輝氏は2億ドルを投入して、神州レンタカーの規模を45000台に拡大させた。
同年、神州レンタカーは米国に上場申請を提出したが、中国株信用危機の影響を受けて、神州レンタカーはナスダック上場の申請を撤回した。2014年9月、神州レンタカーは香港証券取引所に上場し、「レンタカー第一株」となり、融資額は36億香港ドルに達した。
その後、創業者の陸氏は同様の拡大手法を複製し、持株会社の「神州優車」とコーヒーチェーン店の「ラッキンコーヒー」の2つの会社を設立した。20カ月、神州優車はベンチャー企業を対象とした中国の店頭株式市場(新三板市場)に上場し、ラッキンコーヒーは設立18カ月後、米ナスダックに鐘を鳴らして上場した。
陸氏の壮大なプロジェクトの崩壊は、ラッキンコーヒーの偽装騒動に端を発している。
2020年4月、米国株上場から1年足らずのラッキンコーヒーで22億の不正会計が発覚した。叩けば埃がでる。陸正耀氏の壮大なプロジェクトが崩壊し始め、神州系の株価が軒並みに急落し、その後、さまざまな資産売却のニュースが流れた。
2020年後半に入って、神州レンタカーは、中国の地方国有自動車メーカーの北汽や上汽などと売却交渉を行っているとのニュースは流れたが、いずれも売却は成立しなかった。
その後、神州優車はMBK Partners社の子会社Indigo Glamour Company Limitedに、保有する神州レンタカーの株式4.43億株を1株当たり4香港ドルで譲渡する契約を結んだ。
全盛期には、神州レンタカーの親会社である神州優車が41億元で、商用車メーカーの北汽福田から、子会社のBorgward(宝沃汽車)の67%の株式を取得した。その後、惨憺たる販売台数とラッキン不正事件の打撃を受け、Borgwardは不振に陥り、2020年には販売台数が急減し、年間で新車8740台しか販売されなかった。「千都市万店舗」計画も空振りとなり、陸正耀氏の車づくり、ネット配車、レンタカー、中古車、自動車金融を統合する壮大な計画がとん挫した。
神州レンタカーの上場廃止とともに、親会社の神州優車もこのほど、福建省厦門市中級裁判所に6.1億元の資産凍結を言い渡された。