BYD、欧州で超急速充電網を展開へ 「閃充」導入とDENZA Z9 GT投入を加速

BYDが欧州において電気自動車向け充電ネットワークの構築を進めているとされています。今後数週間以内に中国国外で初となる超急速充電システム「閃充」を設置し、さらに今年夏から欧州全域で本格的に閃充インフラの整備を拡大する計画です。
BYDが公表したデータによると、「閃充」ステーションは単基あたり最大1500キロワット(1.5メガワット)の充電出力に対応します。1.5メガワットの充電条件下では、第二世代ブレードバッテリーを搭載した車両は、5分で電量を10%から70%まで、9分で97%まで引き上げることが可能とされています。さらに、マイナス30度の環境下でも同様の充電性能を維持できるとされています。ただし、欧州仕様車が同等の性能を実現できるかについては、現時点では明らかになっていません。
BYDの2025年の販売台数は460万台に達し、世界の自動車メーカーの中で販売台数第5位に入りました。一方で、2026年に中国政府が純電動車およびプラグインハイブリッド車に対する購入税優遇政策を終了したことを受け、中国国内市場では販売が大きく落ち込み、今年1~2月には現地競合であるGeely(吉利)に販売台数で逆転されています。市場では、中国市場における競争激化を背景に、同社が海外市場を今後の重要な成長軸として位置付けているとの見方が出ています。
今回の超急速充電システム「閃充」の海外展開は、同社の高級ブランドDENZA(騰勢)Z9 GTの欧州市場投入と歩調を合わせたものとなります。同モデルは4月8日にパリで発表される予定で、高級電動車として位置付けられ、第二世代ブレードバッテリーを搭載し、超高出力充電に対応します。ただし現段階では、BYDの「閃充」はDENZA Z9 GTのみに対応しています。欧州市場で販売されている電気自動車の多くは最大でも約400キロワットの充電にとどまっており、既存の直流急速充電ネットワークで需要は概ね満たされているためです。
今後の注目点としては、BYDが欧州で「閃充」の整備をどの程度の速度で進められるかが挙げられます。現在、同社は中国国内で既に数千基のメガワット級充電設備を展開しているとされています。電力網への依存度が比較的低いことや、モジュール化設計を採用していることから、設置作業はエアコン設置のように比較的簡易であるとの見方もあります。
一方で、「閃充」は実質的には充電ステーションに蓄電池を設置しているに過ぎず、複数車両への継続的な給電には制約があるとの指摘もあります。この点について関係者は、各充電ステーションのデータをBYDがバックエンドで常時監視しており、ピーク時に蓄電池(2台で340kWh)が短時間で消費される場合には、臨時で電池を追加搬入して容量を拡張するほか、必要に応じて新たな充電設備を追加する対応を取るとしています。こうした対応は技術的には難しくないものの、実際には人的対応を伴う作業となります。