BYD、初のPHEV「Sealion 6」を日本投入──400万円切りの戦略価格で本土メーカーに挑む

12月1日、BYDは日本で初となるプラグインハイブリッド車(PHEV)「Sealion 6」(中国名:海狮06 DM-i)を正式に発売し、長年にわたりトヨタ、ホンダ、日産などの国内メーカーが主導してきた日本の乗用車市場に、改めて挑戦する姿勢を示しました。BYDは2023年に日本市場へ参入して以来、すでに5車種のEVを投入しており、来年には日本市場向けに設計した軽自動車の販売も予定しています。今年のジャパンモビリティショーで示した計画によれば、BYDは2027年までに日本で合計7~8車種を展開する見通しで、今回のSealion 6の投入は、同社が日本におけるラインアップを拡充し、PHEVの選択肢を補う重要な一手と位置づけられています。

BYDオートジャパンの社長、東福寺厚樹氏は発表会で、「BYDは新エネルギー技術を基盤に、日本市場での展開をさらに加速させていく」と述べました。Sealion 6は前輪駆動と四輪駆動の2種類を用意し、価格はそれぞれ398.2万円と448.8万円に設定されています。この価格戦略は、日本のPHEVが総じて高価格帯にあるという市場の実情を正面から突いたもので、たとえばトヨタRAV4 PHEVは約566万円、三菱アウトランダーPHEVは約529万円と、主流モデルはいずれも高価格帯に属します。装備差により完全な比較はできないものの、400万円を下回る価格設定に対して日本の消費者から「驚きの声が多い」と東福寺氏は語り、価格を決める際にはRAV4やハリアー、アウトランダーなどを参考にしたことも明かしました。同氏はまた、この価格が実現できたのは「BYDが常に電池技術を中心に自動車事業を展開してきた結果、コスト競争力を確保できているためだ」と強調しています。

今回日本で発売されたSealion 6には、BYDの第5世代DMハイブリッドシステム(DM-i)が搭載されています。このシステムは電気モーター走行を主体としつつ、必要に応じてエンジンが駆動や発電に関与する仕組みで、純電走行、モーターとエンジンの協調走行、エンジン発電走行の3モードに対応し、都市部の通勤から長距離移動まで幅広い用途に対応します。純電走行では約100キロの航続が可能で、満タン給油と併用すれば最大航続距離はさらに伸び(公式値1200キロ)、急速充電にも対応しています。車体サイズは日本仕様で全長4775mm、全幅1890mm、全高1670mm、ホイールベース2765mmとなっており、中国国内仕様の海狮06よりややコンパクトになっています。

BYDによれば、11月1日のジャパンモビリティショー開幕と同時に予約受付を開始して以降、Sealion 6の受注はすでに300台を超えており、納車は来年1月末から開始される見通しです。中日関係が緊張するなかでの発売となりましたが、東福寺氏は合同取材で「現時点で納車待ちのお客様からキャンセルの申し出は受けていない。皆さん冷静に状況を見守っている」と述べ、両国政府から発表会の中止要請などもなかったと説明しました。短期的には大きな影響は確認されていないものの、緊張が長期化すれば消費者心理に不安が生じる可能性はあるとしています。

日本全体の市場を見ると、PHEVは依然として小規模なセグメントにとどまっています。日本自動車販売協会連合会のデータによれば、2025年10月のPHEV販売台数は3004台で、新車販売全体の1.4%にすぎません。一方、ハイブリッド車(HEV)は引き続き61%という圧倒的なシェアを占めています。

現在、日本におけるBYDの市場シェアは依然として小さいものの、中国国内市場の競争激化を背景に、同社は海外展開を加速させています。日本自動車輸入組合の統計では、2025年1~10月の日本への輸入乗用車総数19万9546台のうち、BYDは3216台で、シェアは1.6%にとどまるものの、前年同期比では70%増と大きく伸びています。

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