BYD「奴隷労働」事件の新展開:違法ビザで数百人をブラジルへ、摘発の163名が帰国

ロイター通信によると、ブラジル労働検察庁の幹部が、BYDが違法なビザを所持した数百人の中国人労働者をブラジルに連れてきて工場建設に従事させたと述べました。

先月、ブラジル当局は、BYDが契約した金匠グループを摘発し、同グループによって雇用された163名の中国人労働者が「奴隷に類似した労働条件」で働かされていたことが発覚しました。

今回の調査を担当するバイーア州の労働当局のLiane Durao氏によると、2023年12月に救出されたこれらの中国人労働者はすでにブラジルを離れたか、離れようとしています。同氏は「これらすべてが規則違反です」と述べ、BYDに対して労働者1人につき罰金が科される予定であると語りましたが、具体的な罰金総額は明らかにされていません。

また、ブラジル政府は、違法なビザ取得の疑いがあるとして、BYDへのビザ発行を一時的に停止したとも報じられています。

Durao氏は、BYDがブラジルに留まる数百人の労働者の労働条件をブラジルの労働法に適合させることに同意したと語りました。約500人の中国人労働者がブラジルの工場で働いているとされていますが、BYDと金匠グループの双方はコメント要請に即座には応じていません。

BYDは今後、現地の労働法を遵守し、ブラジルに留まる労働者の安全を確保すると約束しています。また、BYDはこれまでに金匠グループとの契約を打ち切ったと発表しており、金匠グループはブラジル当局の主張に異議を唱えています。

BYDは、バイーア州の工場建設に6億2千万ドルを投資しており、2025年初めの稼働を目指し、初期の生産能力は15万台と計画しています。

ブラジルは中国国外でBYDが最大の市場として位置づける重要拠点です。2024年1~11月の間、BYDの海外販売のうち約5分の1がブラジル市場からのものでした。

BYDは現在、世界的な拡張を目指しており、中国市場での支配的地位を活用しながらグローバル展開を強化しています。今回の労働法違反を巡る調査は、同社の評判に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、計画の遅延につながる恐れがあります。また、たとえBYDが今後労働者の条件を改善し、ブラジルの法律に適合した措置を取ったとしても、中国から労働者を直接連れてくるというBYDの手法は、現地での雇用創出を重視するブラジル政府の方針と対立する可能性を示しています。

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