Chery(奇瑞)、香港市場へ上場申請 グローバル戦略に弾み

2月28日、Chery (奇瑞)が香港取引所に上場申請書を提出し、中国で最後に残った未上場大型自動車メーカーが資本市場への参入を開始したのです。目論見書では具体的な調達額や発行株式数が明記されていないものの、資金の使途は次の5分野に重点配分されることが明示されています。具体的には、(1)乗用車製品ラインアップの拡充、(2)次世代自動車技術の開発、(3)グローバル市場の開拓、(4)蕪湖生産拠点の設備更新、(5)運転資金の補充です。

1997年に安徽省蕪湖市で設立されたCheryは、現在Jetour(捷途)、Exeed(星途)、iCAR、Luxeed(智界)の5大ブランドを擁する総合的な製品ラインを構築。財務データからは近年の成長がうかがえます。2023年の売上高は前年比76%増の1兆6320.5億元に達し、純利益は104億4400万元と100億元の大台を突破。年間利益成長率は約80%に迫りました。2024年1-9月期では売上高1兆8215.4億元、純利益113億1200万元を記録し、純利益率は6.2%から6.6%の範囲で安定推移を維持しています。

同社は中国自動車業界において、「国内市場と海外市場」「従来技術と新エネルギー技術」の二軸展開を両立させる数少ない地場メーカーとして知られ、派手なスペック追求よりも堅実な技術開発を重視する姿勢が特徴です。

2024年の世界販売台数は260万3900台(前年比38.4%増)に達し、このうち新エネルギー車が58万3600台(同232.7%増)を占めました。特に注目されるグローバル戦略では、総販売量の44%に当たる114万4600台を輸出。世界8カ所に展開する研究開発センターと1万3000人以上の技術チームが「内燃機関車と電気自動車の両立」戦略を支えており、新エネルギー特化型競合他社との差別化を実現しています。

さらに特筆すべきは、目論見書で「技術輸出」戦略を強く打ち出している点です。現在、国内7カ所の生産拠点と海外10カ所のKD工場を展開し、5万人の従業員のうち26%以上が研究開発要員という体制を構築。2025年目標として業界平均を10-20ポイント上回る成長率の維持を掲げており、香港上場実現による資本市場からの後押しが、同社のグローバル市場での存在感拡大に寄与することが期待されます。

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