奇瑞(Chery)、日産の南アフリカ・ロスリン工場を買収へ――2026年年央に引き渡し完了予定

1月23日、日産自動車は、南アフリカ・ロスリン(Rosslyn)にある製造資産の売却について、奇瑞南アフリカ社と合意したと発表しました。今後、当局による認可などの前提条件が整い次第、南アフリカ社は2026年年央にも取引を完了し、同工場の土地、建屋および関連設備を正式に引き継ぐ予定です。
今回の買収には、完成車の生産設備に加え、工場周辺に設置されているプレス生産施設も含まれます。取引完了後、ロスリン工場で勤務している日産従業員の大部分は、奇瑞南アフリカ社に転籍する見通しで、賃金水準や雇用条件は原則として現行の枠組みが維持されるとしています。
日産は、今回の工場売却について、グローバルで進めている生産体制の見直しの一環であると説明しています。日産アフリカ地域のヨルディ・ビラ社長は、近年の市場環境の変化により、ロスリン工場の稼働率が低下し、同社の世界生産ネットワークにおける位置づけも次第に低下していたと指摘しました。そのうえで、工場を売却することで雇用の維持を図るとともに、現地サプライチェーンの混乱を避けたい考えを示しています。
奇瑞による買収完了後、日産は南アフリカでの現地生産からは撤退するものの、車両の販売およびアフターサービス事業は引き続き継続します。また、2026年度には複数の新型車を同市場に投入する計画も明らかにしています。生産からは退く一方で、販売事業は維持する形となります。
奇瑞南アフリカ社は、中国の奇瑞汽車(Chery)が現地に設立した全額出資子会社で、南アフリカ市場における車両販売、販売網の構築、本地生産関連業務を担っています。今回のロスリン工場買収により、奇瑞は新たに工場を建設することなく、既存の完成車生産拠点を直接確保することになります。
奇瑞は近年、海外市場での現地化戦略を加速させており、自社工場の新設や既存工場の買収を通じて、各国での生産体制構築を進めています。こうした動きは、完成車輸入関税や物流コストの低減に加え、各国で強化が進む現地生産比率要件への対応を目的としたものです。南アフリカは、アフリカ地域でも数少ない自動車産業の基盤を持つ国であり、生産インフラや部品供給体制、周辺国への輸出拠点としての優位性から、中国系自動車メーカーの重要市場となっています。
取引が順調に進めば、ロスリン工場は2026年年央にも正式に奇瑞の海外生産ネットワークに組み込まれる見通しです。同工場の所有主体の変更は、南アフリカ自動車産業における勢力図にも一定の変化をもたらす可能性があります。