電気自動車はもう寒さに負けない?北汽集団は「新エネ車耐寒テスト」を実施

2020年1月19日、「北汽集団(BAIC GROUP)の冬季環境向け新エネルギー車耐寒テスト」が内モンゴル自治区フルンボイルの牙克石(ヤクシ)市の試験場で行われた。極寒環境の中で、北汽集団は新エネルギー自動車の「耐寒技術群」の成果を多くの人に披露し、寒冷地のユーザーが新エネルギー自動車(特に電気自動車)に対して抱くバッテリー性能上の懸念を取り除き、電気自動車はもう寒さに負けないことをアピールした。

2017年、北京理工大学が筆頭となり、北汽新能源と北汽福田は、北京市科学技術委員会の「冬季五輪環境向け電気自動車の主要技術開発とモデル応用」事業への参加を申請した。同事業は、2022年冬季五輪期間中における電気自動車の耐寒性能や冬季の電気自動車の試運営に技術的な保障を打ち立てるための「礎石」だ。 2017年に入ってから、 北京市科学技術委員会の支援を受けて、 北京理工大学の孫逢春院士が先頭に立って、北汽新能源(北汽傘下の新エネ車メーカー)、北汽福田(北汽傘下の商用車メーカー)、北京理工大学、宇通(バスメーカー)、湖南華強(空調設備メーカー)、RiseSun MGL(動力電池開発企業)などの研究開発資源を統合し、北汽集団は極寒条件下での一連の新エネルギー自動車の重要技術の研究開発テストを実施しており、3年間の努力を経て、現在この事業はすでに試験終了段階を迎えた。

同時に、耐寒技術群はユーザーにも恩恵を与え、極寒環境下での電気自動車の充電困難、発進不能、航続距離急減などのペインポイントを確実に解決できる。北汽新能源は現在、ArcfoxブランドのN60に搭載される全気候電池をベースにした完成車設計を完了しているが、この新車は2020年8月に発売されるという。

「新エネ車耐寒技術群」の紹介

今回北汽集団が極寒環境向けに開発した一連の技術は、駐輪保温、遠隔充電保温、バッテリー急速加熱、マトリックコンバーター方式急速充電、低温走行時のエネルギー最適化、エネルギー回収、超低温ヒートポンプ空調システムなど一連の耐寒技術を含み、新エネルギー自動車の極寒条件下でのパフォーマンスを効果的に引き上げ、低温下での完成車航続距離と充放電能力を高めることができる。このような技術の強化を経て、今後、新エネルギー車は極寒や低温の環境においても余裕を持って対応し、冬場の航続距離の低下という弱点を克服することになる。

1、駐輪保温

保温断熱材を使用することで、-10℃の低温環境では、バッテリシステムの冷却時間を9%遅らせ、保温時間を10%向上させる。ユーザーは、運転途中の駐停車時間において、バッテリシステムの温度を適切な範囲内に保つことができる。

2、遠隔充電保温

ユーザーは、予め遠隔充電保温機能を起動して、バッテリーの予熱を行うことにより、充電開始直前のバッテリシステムの温度チェックと予熱を省き、充電費用と充電時間を節約することができる。

3、マトリクスコンバーター方式急速充電

マトリックスコンバーター方式充電技術は、安全な充電の限界値を正確に識別することで、バッテリシステムのSOC (State of Charge、充電率または充電状態)と温度に基づいて、最適な充電時間と充電速度を選択し、充電容量の最適化を実現し、バッテリー寿命への影響を最小化し、-20℃から+55℃の充電温度範囲を満たすことができ、バッテリーの充電範囲を大幅に拡大することができる。

4、バッテリー急速加熱

低温下でのセル内抵抗増大の特性を利用して、高周波大電流パルス充/放電による快速加熱効果を実現して、バッテリシステムの温度上昇は2℃/minに達し、伝統的なPTC加熱方式と比べて、セル内の自己発熱のため、温度の一致性は更に良い。これにより、バッテリシステムは適切な周囲温度で動作し、充電効率が向上し、常温航続距離の90%以上の低温航続距離を実現する。

5、低温走行時のエネルギー最適化

車が走行中に周囲温度が低いため、バッテリシステムの温度が他の季節よりも高くなる。加熱シートまたはWTC加熱方式により、急速にセルを加熱する機能により、バッテリシステムの低温放電電力と容量を向上させる。

6、エネルギー回収

3つの技術が含まれている。(1)知能化シングルペダルコントロール技術。1つのアクセルペダルで、加速、減速、停止まで完了し、運転疲労を軽減すると同時に、エネルギー回収を最大化している。(2)ブレーキ意図識別技術。ブレーキ動作の精確な解析を通して、機電系メカニズムの最適化を実現し、ブレーキフィーリングを改善すると同時に、エネルギー回収を最大化している。(3)ダイナミックエネルギー回収技術。バッテリーとアクセサリの状態に応じてバッテリーのエネルギー回収マージンを動的に調整し、最大限のエネルギー回収を実現している。この技術に基づいて、同社EU5のエネルギー回収率は25%に達している。

7、超低温ヒートポンプ空調システム

システムを最適化することで、ヒートポンプの環境温度を-10℃から-25℃まで下げ、低温環境での航続距離を10%以上引き上げ、電気自動車の耐寒性能を改善している。

目標の達成

1、低温での航続距離を向上させ、低消費電力+5%で、常温とほぼ同じ程度の航続性を実現している。
2、エアコンの効率が大幅に向上し、エネルギー消費量が減少し、通常のヒートポンプエアコンの4倍の効率を達成している。
3、完成車制御システムの最適化により、オールシーズンで、バッテリー温度、充電パワー、エネルギー回収システムを最適化し、バッテリーの効率と寿命を引き上げている。


参考記事:https://auto.sina.com.cn/news/hy/2020-01-20/detail-iihnzhha3563234.shtml

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