Geelyとルノー、ブラジルで合弁──ルノー工場活用し即参入、自社ブランド展開へ転換

6月20日、香港取引所に掲載された公告により、Geely(吉利汽車)とルノーグループが正式に合弁契約を締結したことが明らかになりました。両社は共同出資により、ブラジル市場における事業体制の再編を進めます。今回の提携により、Geelyは自ら工場を新設することなく、ラテンアメリカ最大の自動車市場であるブラジルへ迅速に参入することが可能となり、ルノーが同国で築いてきた生産能力や全国規模の販売ネットワークを活用することで、ブランドの影響力強化と市場カバレッジの拡大を図る狙いです。

新たに設立される合弁会社は、ブラジル国内においてルノーおよびGeelyブランドの乗用車を生産・販売するほか、ルノーブランドの小型商用車も取り扱います。合弁契約の初期期間は20年で、早期解約も可能とされており、初期期間満了後は自動的に5年間延長される仕組みです。この契約は、今後関係当局の承認を受ける必要があります。

契約内容によれば、ルノーが合弁会社の株式の73.57%を保有し、Geelyグループ傘下の子会社GAが21.29%、GHが5.11%、象徴的な独立第三者が0.03%を保有することで、Geelyグループ全体では26.4%の出資比率となります。合弁会社の評価額は17.7億ユーロ(約135.8億元)に達し、百億元規模の新たな自動車企業が誕生することになります。

この合弁事業により、ルノーはブラジル工場の稼働率を大幅に向上させることが可能になります。一方、Geelyにとっては多額の工場建設投資を回避しながら、ルノーが築いた全国的な販売チャネルに直接アクセスできるという大きなメリットがあります。

Geelyとルノーの提携は2021年に始まり、ハイブリッド技術を軸とした連携を進めながら、韓国市場における共同生産プロジェクトなどを展開してきました。2024年には両社がHORSE Powertrain社を設立し、内燃機関およびハイブリッドパワートレインに関するグローバル展開を推進しています。また、今年2月にはGeelyがルノーに対しハイブリッド技術を提供することに合意し、ブラジル工場においてはガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車(EV)など複数のプラットフォームでの生産が計画されています。

韓国での提携が主に技術提供にとどまったのに対し、今回のブラジルにおける提携では、Geelyが自社ブランドで直接販売を行うことで、単なる「技術輸出」から「ブランド浸透」へのステップアップが実現される形となっています。

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