BYD、PHEVに常圧タンク使用の理由を説明、コスト削減の知られざる「裏側」が明らかに
BYDは、排出基準を超える汚染物質を排出しているとの長城汽車の告発を受け、反論を行った。
5月29日、BYDは深セン証券取引所の相互取引プラットフォームで投資家からの質問に答えた。BYDの回答のポイントは以下の通りである。
まず、BYDの第3世代ハイブリッドシステムはガソリン車プラットフォームの設計に基づいており、高圧タンクを採用している。一方、第4世代ハイブリッドシステムは電気自動車のプラットフォームに基づいて設計されており、常圧タンクを使用することで基準を満たすことができる。常圧タンクでも基準をクリアできるのは、BYDの特許が存在しているためであり、その特許を他社と共有することが可能である。
要するに、第3世代ハイブリッドシステムではエンジンとホイールの切り離し(デカップリング)ができず、EVモードではエンジンを始動させてチャコールキャニスターに溜まったガソリン蒸気の処理ができなかった。そのため、当時は高圧タンクが採用されていた。
しかし、第4世代ハイブリッドシステム(DM-i/p)ではエンジンと車輪の切り離しが実現されており、ガソリン蒸気が一定のしきい値に達した後にエンジンを始動すると、約4分間の運転後に40-50gのガソリン蒸気を脱離させることが可能である。BYDによると、駐車状態で、燃料タンクからは毎日3-5グラムのガソリン蒸気が発生し、EVモードで走行する場合は100キロごとに1グラム前後のガソリン蒸気が発生する。発生したガソリン蒸気はチャコールキャニスターに吸着され、平均1日に4-6g増加し、6日後にはチャコールキャニスターの重量が約30g(24-36g)増加するが、わずか4分で脱離させることができる。また、脱離の時のエンジンの騒音は車全体の騒音よりも小さく、ユーザーはほぼ感じられない。
BYDの説明は、技術的な合理性があるように見える。しかし、ここからBYDのコスト削減の裏側が明らかになっている。
一部のメディアが指摘した通り、BYDは実質的にユーザーのガソリンを消費してガソリン蒸気の脱離を行っている。この方法によって節約されるのは、高圧タンクを使わずに常圧タンクを使用するための(1000元とも言われている)コストであり、ユーザーのガソリン代を使ってBYDの車作りに貢献してもらうということである。
BYD秦PLUS DM-iや宋PLUS DM-iのユーザーの多くは、燃費を向上させるためにガソリンを使わずに長期間にわたり純電気モードで走行し続けている。しかし、彼らは燃費が思ったほど改善されていないことに気づいているはずである。その原因は、これらの車両のエンジンが定期的に始動しているためである。BYDの説明によれば、潤滑と防錆のために燃料の流れが必要だとしているが、もう一つの理由は、低コストの常圧タンクを使用しているためであることが、今回の騒動で明らかになった。
BYD関連特許