HAOMOに深刻な人事混乱──GWM(長城)の自動運転子会社、商業化停滞と相次ぐ離職で先行き不透明に

複数の情報によりますと、GWM(長城汽車)傘下の自動運転会社「HAOMO(毫末智行)」では現在、経営陣の人事が混乱しており、多くの中堅・上級管理職が退職しています。会長の張凱氏も退職の意向を示しており、今後の去就についてはまだ明らかになっておりません。
HAOMOは2019年11月に設立され、GWMが自動運転事業を分社化して設立した子会社です。もともとはGWM技術センターの自動運転先行開発部門であり、2019年11月にGWMから独立してテクノロジー企業として発足しました。GWMは、実質的支配者である魏建軍会長を通じたグループが約59%の株式を保有しており、2024年時点では魏建軍会長個人による保有比率が34.96%に達し、実質的な支配権を持っています。GWMは独立運営を通じて外部資本や人材を呼び込み、「GM+Cruise」モデルの再現を目指し、自動運転技術の社会実装を加速させたいと考えています。
HAOMOは設立以来、乗用車向けの自動運転支援システムと、「ラストワンマイル」配送に使用される低速無人車両という、2つの柱を軸に事業を展開してきました。2024年には、GWMブランドの20車種以上に同社のインテリジェント運転機能が搭載されたと発表されたほか、物流向けの小型無人配送車「HIMODUO(毫末小魔駝)」が十数都市で導入されたことが成果として挙げられました。
しかしながら、現実は厳しく、社内関係者によると、同社の2大主力事業における商業化の進展は非常に遅れているとのことです。技術的な方向性の問題により、HAOMOは量産車への展開においてたびたびスケジュールが遅延しており、現在に至るまで都市NOA(都市ナビゲーション支援運転)を量産車に搭載することができていません。その結果、親会社であるGWMは2023年に競合の自動運転企業のDeepRoute.ai(元戎啓行)に出資し、セカンドサプライヤーとして起用するなど、HAOMOへの信頼性に揺らぎが見え始めました。
現在HAOMOが受託しているプロジェクトは、韓国・現代自動車向けの2車種のみで、主に「記憶走行」や「駐車支援」などの機能を提供しています。当初は8月に納品予定でしたが、開発の進捗が遅れており、納品が予定通り行われるかは不透明です。
また、低速無人車両事業に関しては、今年の販売目標がわずか50台余りにとどまっており、同社は新型車の研究開発や販売拡大を行わず、実質的には在庫処分の段階にあります。この分野での業績も、期待に十分応えるものとは言い難い状況です。
2024年11月には、HAOMOが大規模な人員削減を開始したとの報道があり、職能部門では約30%、場合によっては半数近い人員が削減され、該当する従業員には「N+1」基準での補償が行われる予定とされています。
商業化の進展が芳しくないことから、社内には今後の見通しに対する不安の声も広がっており、中には、HAOMOがChery(奇瑞汽車)傘下の自動運転支援子会社「大卓智能」と同様の運命を辿るのではないかとの見方も出ております。
実際、5月下旬には、Chery傘下の「大卓智能」と「雄狮科技」が本社に統合され、研究開発総院と一体化して「Chery智能化センター」として再編され、これに伴い、元「大卓智能」総経理の谷俊麗氏も退職しました。