「倒れたが死んでいない」極越(Jiyue)、中東資本が支援に乗り出す可能性が浮上

12 月 22 日、複数の報道によると、アラブ首長国連邦ドバイに本社を置くテクノロジー企業 Robo.ai Inc. が、極越汽車(上海集度汽車有限公司)の臨時管理人に対して、再建に向けた戦略投資家選定プロセスへの参加申請を正式に提出しました。同社は今年 8 月にブランドを刷新し、「スマートハードウェア」「モビリティサービス」「スマートコントラクト」を統合するテックホールディングスを標榜しており、UAE 本社とナスダック上場企業という二層構造を生かして、国際的な資金調達や事業協業の拡大を狙っています。経営難が続く極越にとって、新たな支援候補として中東企業が名乗りを上げた形であり、中東資本が近年積極的に EV 分野へ投資している動きとも重なり、注目を集めています。

極越汽車(集度汽車)は 11 月 21 日付で上海市第三中級人民法院により再建手続き(プレパッケージ型再生手続き)が受理されており、その後、臨時管理人が 12 月 2 日に戦略投資家の募集を開始しました。応募期限は 12 月 31 日で、デューデリジェンス保証金として 500 万元の支払いが求められ、さらに 2026 年 1 月 15 日までに投資提案を提出する必要があります。Robo.ai はすでに応募書類を提出済みですが、今後は保証金の支払いと精査作業が控えており、最終的に管理人との協議がまとまるかどうか、また投資契約が成立し、裁判所や債権者会議の承認が得られるかどうかは、依然として不透明です。

それでも、Robo.ai の参入は極越汽車再建の流れを変える可能性があると見られています。同社は直近で Burkhan Capital 主導の 2 億 7,000 万ドルの戦略投資を受けており、中東資本が重視するテクノロジープラットフォームとしての性格が一段と強まっています。サウジアラビアや UAE などの産油国は、主権基金を通じて EV バリューチェーンへの投資を加速しており、たとえばサウジの PIF は Lucid に出資し、独自ブランド Ceer の立ち上げを後押ししています。アブダビ投資庁(ADIA)も NIO に出資しており、財務的リターンだけでなく、EV 産業の技術や主導権を確保する狙いがあるとされています。こうした文脈から見ても、極越汽車への関心は自然な流れと言えます。

Robo.ai にとって極越汽車の魅力は、すでに量産実績のあるプラットフォームや、Baidu(百度)が蓄積してきた知能化技術、Geely(吉利)が提供してきた生産能力などが一体となって存在している点にあります。これらを統合できれば、極越汽車は「中東 EV サプライチェーンにおける中国拠点」としての役割を担える可能性があり、中東発の新ブランド育成や、同地域向け車両供給のハブとなることも想定されます。

とはいえ、中東資本が関与したとしても、極越の前途は依然として不確実です。EV 市場では上位企業への集約が急速に進み、BYD とテスラが 6 割前後のシェアを握る一方、多くの新興メーカーがごく限られた市場で生き残りをかけています。極越汽車は事業停滞期間中に開発投資が途絶え、ファーウェイ ADS や Xpeng の XNGP など競合技術が急速に進化するなかで差が広がりました。また、長期の経営不振によりブランドへの信頼も損なわれており、回復には十分な時間と資源が必要です。さらに、Baidu が完全撤退を望み、Geely は債権の一部を株式化する可能性があるなど、株主・債権者の利害調整は複雑さを極め、新たな投資家がこれらの調整を担わなければ、再建プロセスは前進しません。

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