マツダ、中国に2000億円投資!新エネルギー車市場での巻き返し戦略とは?
10月2日、マツダは中国市場に2000億円(約97.87億元)を投資すると発表しました。この投資は、新エネルギー車の研究開発、生産、販売をカバーし、マツダが中国市場への深い関与を示すものです。これにより、マツダが新エネルギー車への転換に注力しているだけでなく、世界最大の新エネルギー車市場での競争力を強化しようとしている狙いが明らかになりました。
「値下げ」から「電動化」へ:マツダの生存と発展戦略
近年、マツダの中国市場でのパフォーマンスは振るわず、販売台数は2021年以降減少傾向にあり、乗連会のデータによれば、2021年から2023年にかけての合弁後の長安マツダの販売台数は、それぞれ18.4万台、10.81万台、9.7万台であり、販売が低迷していることが明らかです。この傾向を食い止めるため、マツダは大幅な値下げ戦略を採用し、人気モデルのアクセラやCX-5などの価格を大幅に引き下げました。特に、アクセラは8.99万元から販売を開始し、元々十数万元で購入したマツダファンにとっては驚きをもたらしました。新型マツダCX-5も販売価格を12.58万元に抑え、従来モデルよりも2.4万元引き下げ、合弁コンパクトSUVの価格を小型SUVの価格帯に合わせました。これにより、販売台数は増加しましたが、値下げだけでは長期的な競争力を維持するには限界があります。
新エネルギー分野でも、マツダは初期に独自の純電動プラットフォームを開発し、CX-30EVなどのモデルを投入しましたが、十分な成果を上げることができませんでした。
競争が激化する市場に対応するため、マツダは合弁パートナーである長安汽車のEPAプラットフォームをベースにした初の新エネルギー車「EZ-6」を発表しました。このモデルは、外見はマツダの「魂動デザイン」を踏襲していますが、プラットフォームはDeepal SL03と共有しています。内装デザインもSL03をほぼそのまま引き継いでおり、中型セダンとして、純電動版とレンジエクステンダー付き版に分かれています。
今後の布石:新エネルギー合弁ブランドで「第一」を目指す
EZ-6は「魂動の顔、長安の芯」と揶揄されることもありますが、600キロの航続距離を持つ純電動版と、1300キロの航続距離を持つレンジエクステンダー版が用意されています。性能面では新エネルギー市場で競争力は十分ですが、これまでニッチなブランドとして特徴的だったマツダファンにとって、このモデルが受け入れられるかは不透明です。もはや従来の「マツダらしさ」を感じにくいからです。
EZ-6の予約開始イベントで、長安マツダの鄧智濤副社長は「長安マツダは今後、毎年少なくとも1車種の新エネルギー車を中国市場に投入し、セダンやSUVのセグメント市場を広げていく。2027年には新エネルギー車の販売比率を90%、年間販売台数を30万台にする計画で、新エネルギー合弁ブランドの『第一』を目指す」と発表しました。
マツダの未来の挑戦
積極的な戦略計画が示されていますが、マツダにはいくつかの課題が残っています。EZ-6の発売により、今後も長安マツダがDeepalブランドの他のモデルの技術を「流用」し続けるのではないか、という懸念があります。マツダが「魂動デザイン」の本質を失い、長安のサブブランドになってしまうのではないかという不安も拭えません。このままでは、マツダブランドが中国の新エネルギー車市場でどれだけ通用するか、疑問が残ります。
今回の巨額投資には、中国市場に対するマツダの強い信念が反映されていますが、この投資が本当に状況を好転させるかどうかは時間が必要です。今後数年間で、EZ-6をはじめとする新モデルの市場でのパフォーマンスがその答えを示すことになるでしょう。
長安マツダEZ-6