NETA、破産審査入り──政府主導の「再建」は名ばかり オフィス閉鎖・生産停止の現実

6月12日、NETA(哪吒汽車)の社員が社内で「破産再建に関する声明」(以下は、声明)を発表しました。その中では、今回の再建は浙江省嘉興市中級人民裁判所の監督のもと、政府主導による積極的な「自助措置」とされており、法的手続きを通じて債務危機を解消し、戦略的投資を導入、管理体制を最適化することで、企業の持続可能な発展に向けた新たな道を切り開くことを目的としていると述べられていました。

しかし、NETAの関係者はこの内容について「公式な発表ではなく、あくまで社内で検討中の処置案のひとつに過ぎない」と説明しています。この関係者によれば、5月末から6月初旬にかけて、すでに次の対応策が準備されており、当初は6月末までに発表する予定だったものの、退職社員との対立が激化したため、内容の調整が必要になったとのことです。

同じく12日、NETA本社では社内通達があり、社員は6月12日から在宅勤務を命じられ、オフィスの入退室カードは無効化されました。個人の荷物を取りに行く場合には、行政部門を通じて地元当局やビル管理会社への報告が必要とされています。また、社内関係者によると、会長兼CEOの方運舟氏はすでに浙江省桐郷市へ向かったとのことです。

14日には、経済誌「第一財経」が「NETAが正式に破産審査手続きに入った」と題する報道を行い、同社が3月に提案したサプライヤーへの「債務の株式化」案も、すべての取引先の支持を得られず、外部からの資金調達も行き詰まっていると指摘しました。

NETAの親会社であるHOZON AUTO(合衆新能源)はすでに正式に破産審査の手続きに入っており、その情報は国家企業破産再建プラットフォームにも掲載されています。これは、政府主導による積極的な「自助措置」という説明とは大きく異なり、実際には法的な破産審査手続きに入っていることを示しています。

現実には、社内は混乱状態にあり、社員は在宅勤務を命じられているにもかかわらずオフィスには入れず、創業者の方運舟氏は給与未払いに抗議する社員に囲まれ、警護を伴って退社せざるを得ない状況でした。主要サプライヤーであるCATL(寧徳時代)はすでに納入を停止しており、工場の生産も数ヶ月前から停止しています。事業活動は事実上、完全に停止した状態です。

同社は過去3年間で180億元を超える赤字を出し、資産負債率は217%に達しており、財務状況は極めて厳しいものとなっています。仮に投資家が現れたとしても、関心はブランドの再建ではなく、残された工場や生産ライセンスといった資産の清算に限られると見られています。創業チームの交代も避けられず、方運舟氏の退任は既定路線とされています。

最も深刻な影響を受けているのは、すでにNETAを購入した数十万の国内外のユーザーです。彼らは、アフターサービスの停止、システム更新の不能、部品供給の途絶といった問題に直面しています。企業側は保証の継続を約束していますが、社員の給与すら支払えない状況では、その実現可能性は極めて疑わしいものです。

NETAの破産は、資金調達に依存し、低価格戦略で市場を拡大してきた経営モデルの破綻を示しており、自動車業界全体に警鐘を鳴らす事例といえます。技術力、安定した資金繰り、信頼できるサプライチェーンを欠いた企業が生き残ることは困難であり、自動車製造が極めて高リスクな事業であるという現実を浮き彫りにしました。

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