上汽VW、南京工場を正式閉鎖──中国市場の構造転換で17年の歴史に幕

 7月1日、「南京で17年間稼働してきた上汽フォルクスワーゲン(以下、上汽VW)の工場が同日に正式に閉鎖された」というニュースがインターネット上で広まり、大きな注目を集めました。

 その後、一部メディアは、フォルクスワーゲン・グループ(以下、VW)が南京の合弁工場の生産停止をすでに確認しており、2025年下半期にかけて段階的に閉鎖を進める予定であると報じました。

 南京工場は、上汽VWが2007年に旧・南京汽車の工場を買収し、改修のうえで再建したもので、2008年に正式に稼働を開始しました。同社にとっては中国国内で4番目に大きな生産拠点であり、年産能力は36万台に達し、パサート、シュコダ・スーパーブ(速派)、カミック(柯米克)などの車種を生産してきました。最盛期には従業員数が3,000人を超えていたとされます。しかし、近年の中国自動車市場の急激な変化により、同工場は次第に過剰生産能力と事業転換の難しさに直面していました。

 パサートの生産ラインはすでに南京工場から約70km離れた江蘇省儀征市にある新工場へ移転されつつあり、今後は儀征工場がガソリン車の生産を引き継ぐとともに、EV生産能力の拡充拠点として位置づけられる予定です。南京工場は全面的な生産停止後、南京市政府に返還されるとのことです。

 2015年から2018年にかけて、上汽VWは中国市場で最盛期を迎え、4年連続で国内乗用車販売台数のトップに立っていました。しかし、2019年以降は販売台数が減少傾向に転じ、生産能力の利用率も年々低下しています。2023年には年産能力208万台に対して販売台数は120万台にとどまり、生産能力利用率は58%でした。2024年は販売台数が約114.9万台に減少し、利用率は54.8%にまで下がっています。これら2年間の数字だけを見ても、上汽VWが厳しい状況に置かれていることがうかがえます。

 中国はVWにとって最も重要な市場であることから、販売不振に直面するなかで、同社は対応を急いでいます。上汽VW第一工場や変速機製造会社の閉鎖を含む構造調整を進める一方で、経営戦略の転換にも力を入れ、一部の事業を電動車分野へとシフトさせています。しかし、競争が日増しに激化する中国のEV市場において、同社が再び勢いを取り戻せるかどうかは、依然として不透明です。

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