中国車、世界販売で初の首位 日本勢を上回るも課題残る

3月21日付の「日本経済新聞」によりますと、2025年の世界自動車市場において大きな変化が明らかになりました。中国の自動車メーカーによる世界販売台数は約2700万台に達し、日本勢の約2500万台を初めて上回りました。これにより、2000年以降日本が維持してきた世界首位の座が崩れる形となりました。

この集計は、各自動車メーカーの公表データに加え、MarkLinesなどの集計結果を基に算出されたものです。

メーカー別の動向を見ると、中国メーカーの存在感が一段と高まっています。BYDは2025年の販売台数でフォードを上回り世界6位となり、さらに電気自動車分野ではテスラを抜いて首位に立ちました。Geelyもホンダを上回り、世界8位に浮上しています。世界販売上位20社のうち、中国メーカーは6社を占め、日本の5社を上回りました。

こうした急速な台頭について、業界では複数の要因が重なった結果とみられています。電動化や知能化といった新領域への先行投資に加え、垂直統合や内製化によるコスト競争力の強化、さらには短い開発サイクルによる製品投入のスピードの速さなどを背景に、特に中国市場におけるシェア拡大が進んでいるとされています。

今回の順位逆転は、自動車産業における影響力の重心が日本から中国へと移りつつあることを示す象徴的な出来事と受け止められており、日本メーカーにとっては電動化戦略やグローバル展開の見直しを迫る契機になるとの見方も出ています。

もっとも、日本メーカーが一様に競争力を失ったわけではありません。日本勢の内部では明確な差が生じています。トヨタは約1130万台を販売し、引き続き世界トップの地位を維持しており、ハイブリッド技術を軸とした競争力も健在です。スズキもインド市場を中心に堅調な伸びを示しています。一方で、ホンダは販売が約8%減少し、中国市場では大幅な落ち込みが見られます。日産も約4%減少し、順位は11位へ後退、2004年以来初めてトップ10から外れました。

こうした差の背景には、技術戦略の違いがあります。トヨタは成熟したハイブリッド技術を軸に安定した需要を維持しているのに対し、ホンダや日産は電動化、ハイブリッド、内燃機関のいずれに軸足を置くかの判断に揺れが見られ、決定的な強みを打ち出しきれていない状況にあります。特に中国市場では電動化の進展への対応が遅れ、競争圧力が一段と強まっています。このため、今回の変化は国家産業間の単純な競争というよりも、各パワートレイン分野での優位性の差を背景に、メーカー間の勢力図が入れ替わりつつある過程と見る向きもあります。

一方で、グローバル展開の面では依然として日本勢が優位に立っています。日本メーカーは40カ国以上に生産拠点を有し、海外市場(現地生産と輸出を含む)が全体販売の約7割を占めています。長年にわたり構築されてきた現地生産体制とパートナーシップのネットワークが強みとなっています。

これに対し、中国車の輸出は総生産の約2割にとどまり、海外生産もなお初期段階にあります。そのため、現時点での販売規模の拡大は主に国内市場と輸出に依存しているとみられます。

ただし、中国メーカーも海外展開を加速させています。完成車の輸出に加え、現地生産拠点の設立や既存工場の取得を検討する動きが広がっており、かつて日本メーカーがたどった「輸出から現地生産へ」という展開をなぞる形となっています。しかも、その進展スピードは当時の日本よりも速いとされています。

その一方で、課題も指摘されています。国内市場では過剰生産能力が問題となり、価格競争が激化していることから、業界全体の収益性は低い水準にとどまっています。また、欧米市場では関税や規制といった障壁に加え、他地域においても地政学的要因が影響しています。

中国メーカーが2025年に世界販売で首位に立ったことは、大きな節目といえます。しかし、この変化の真価は、今後海外市場で持続的に利益を確保できるか、そして規模拡大から収益拡大へと転換できるかにかかっています。

日本メーカーはかつて、グローバル展開を通じて長期的な収益基盤を築いてきました。中国メーカーが同様の道を歩めるかどうかが、今回の「逆転」が新たな出発点となるのか、それとも一時的な現象にとどまるのかを左右するとみられます。

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