中国車のシェアが倍増、テスラは5カ月連続減──5月の欧州新車市場で勢力図に変化

JATO Dynamicsは6月25日、5月の欧州28市場を対象とした新車登録データを発表しました。それによると、2025年1月から5月までの累計登録台数は5,535,831台で、前年同期比0.7%の微増にとどまりました。一方、5月単月の登録台数は1,107,517台で、前年比2.5%の増加を記録しており、中国ブランドが成長のけん引役となっています。

フォルクスワーゲン、ルノー、BMWなど欧州の主要自動車メーカーは5月に好調な販売実績を示し、それぞれ3.3%、4.6%、6.3%の販売増となりました。ただし、中国の自動車メーカーは同月に65,808台の新車を登録し、総販売台数の5.9%を占めました。これは2024年同月の2.9%から倍以上に増加したことを意味します。

中国ブランドの中では、MG(名爵)が5月に2万9,400台を登録し、前年同月比で30%の増加となりました。年初からの累計登録台数は13万3,400台に達し、フィアット(12万5,300台)を上回っています。一方、BYDは397%という大幅な伸びを記録。5月時点ではテスラとの差がわずか40台にまで縮まり、4月にはBYDがテスラを初めて上回っていました。

Chery傘下のJaecooは7,449台を販売しホンダを上回り、同じくChery傘下のOmodaは4,213台で三菱を超えました。新興EVメーカーの零跑汽車(Leapmotor)は1,723台を販売し、ランチア(Lancia)を上回っています。

中国勢の台頭について、JATO Dynamicsのグローバルアナリストであるフェリペ・ムニョス氏は、「EUが中国製EVに関税を課しているにもかかわらず、中国ブランドは欧州で依然として力強い成長を見せている。この成長の背景には、プラグインハイブリッド車(PHEV)やフルハイブリッド車(HEV)といった代替パワートレインを積極的に展開している点がある」と指摘しています。

かつて欧州EV市場をリードしていたテスラは、現在苦境に立たされています。ACEA(欧州自動車工業会)が6月25日に発表したEU新車登録台数統計によれば、2025年5月のEUにおけるテスラの新車登録台数は8,729台で、前年同月比で40.5%の大幅減となりました。1月から5月の累計登録台数は5万413台で、前年同期比では45.2%減と深刻な落ち込みを示しています。

主力モデルであるModel Yにリフレッシュ版を投入したものの、販売拡大には結びつかず、同社の欧州市場におけるシェアは1.6%から0.9%へと縮小しました。これでテスラは2025年に入ってから5カ月連続で販売が減少しています。

中国メディアでは、EUにおけるテスラの販売低迷と中国勢の台頭の背景について、以下の点が指摘されています。第一に、欧州の伝統メーカーや中国ブランドが新型モデルを積極的に投入している一方で、テスラは旧型モデルの更新ペースの遅れや新型車のインパクト不足が販売に影響しているとみられています。第二に、関税が引き上げられたにもかかわらず、中国製EVは依然として価格面で優位であり、市場から支持を集めています。第三に、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏の政治的発言に対する一部消費者の反発が、販売不振を長引かせていると考えられています。

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