ディーラー値上げ、ダフ屋転売、車載チップ供給不足が市場の混乱を引き起こす

経済誌の「第一財経」によると、地場メーカー長安汽車の新エネ車子会社「長安新能源」の小型EVのBenni(奔奔)E-STARの納車延期と、一部の販売店による値上げ販売に関する苦情が相次いでいる。記者が「車質網」や「黒猫苦情」などの苦情受付プラットフォームを調べたところ、今年10月と11月にE-STARの納車延期や値上げに関する苦情件数が「車質網」で計84件、「黒猫苦情」で計23件検索された。

あるユーザーは、「長安Benni E-Star国民版(低速充電)2021年モデルを今年10月16日に注文し、3000元の予約金を払って、2カ月以内に納車できると約束した」が、3日後、ディーラーから約束日に納車できないことと、10000元を追加して、別の「多彩版」に注文を切り替えれば、予定どおりに納車できるとの連絡を受けた。別のユーザーは、今年10月にE-Starを注文したが、ディーラーとの契約に具体的な納車日が明記されておらず、何度問合せても現車がないことを理由に、5000元を払ってアップグレードサービスパックを購入するか、ずっと待つか、との代替案を提示され、苦しい選択に迫られた。

「われわれはもともと新型と旧型を切り替える生産計画を立てていたが、ここ1カ月で注文が急増し、われわれの生産計画をはるかに超えてたため、ディーラーが供給できなくなった」と、長安新能源の関係者は、「Benni E-Star国民版の3モデルは新規受注を停止しているが、生産を続けており、現在の月産能力は約8000台」と説明した。

長安Benni E-Starのディーラー値上げは、今年の車載チップ供給不足によるものと見られている。記者の調べによると、長安だけではなく、トヨタやBYDなどのブランドを含む売れ筋モデルはいずれも納期の長期化や値上げ販売のケースがあり、一部のモデルの値上げ幅は数万元にも達している。

売れ筋モデルの中には、注文を転売するビジネスまで発展しているものもある。中でも最も極端なのは地場メーカー長城汽車の人気SUVモデルTank 300とTank 500である。アリババ傘下のフリマサイト「閑魚」ではTankの注文譲渡の出品情報が次々と出てきたが、譲渡価格は1000元から1万元以上とさまざまである。その中で1人のユーザーは8000元の価格で6000番目の注文を出品し、もう1人のユーザーは10000元の価格で10000番目以下の注文を出品している。特別キャンペンで入選したあるユーザーはさらに2万元の注文譲渡価格を提示しており、3万元の価格を提示するものもいる。同社のTank300と新エネ車ブランドORA(欧拉)の小型EV「好猫(GoodCat)」は、納期が半年近いと異常に長いため、早く手に入れたいユーザーを狙って、転売目的の注文が横行している。

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