中国煙台発メキシコ行きの自動車運搬船が太平洋で火災 EVバッテリーが出火原因か? SAICとBYDに疑惑の目

6月3日午後、中国の煙台港を出航し、メキシコのラサロ・カルデナス港へ向かっていた自動車運搬船「Morning Midas(晨光)」号が、アメリカ・アラスカの南方約300マイル(約480キロ)の太平洋上で火災を起こしました。幸いにも、乗員22名は全員無事に避難し、人的被害はありませんでした。
アメリカ沿岸警備隊および船主の情報によると、この船には計3048台の車両が積載されており、そのうち70台は電気自動車、681台はハイブリッド車だったとされています。一部の報道では、電気自動車の台数が最大で800台に上る可能性もあると伝えられています。火災は、電気自動車を積載していたデッキで最初に確認され、乗員は泡消火装置などの船内設備を使って消火を試みましたが、火の勢いはすぐに拡大し、制御が困難になりました。最終的に、アメリカの緊急救援機関との協議の末に船を放棄する判断が下され、乗員は救命ボートで脱出し、通りかかったコンテナ船「Cosco Hellas」号に救助されました。
「Morning Midas」号はリベリア船籍で、全長182.88メートルのロールオン・ロールオフ船(自動車運搬船)です。管理はイギリス・ロンドンに本社を置くZodiac Maritime社が行っており、2006年に中国の厦船重工によって建造されました。最大で約6000台の自動車を搭載することが可能です。
現在のところ、どのブランドの車が積載されていたかは明らかになっておらず、関係する自動車メーカーからのコメントも出ていません。一部では、今回積載されていた車両の多くがBYDのDM-iおよびEVモデルではないかとの推測も出ています。というのも、公開されている航路情報から、BYDの多くのプラグインハイブリッド車(DM-i)や電気自動車が煙台港から輸出されていることが確認されているためです。BYDのプラグインハイブリッドや電気自動車は、主に低コストのリン酸鉄リチウム電池を使用しており、これまでも新車が自然発火し、積載トレーラーや販売店(4S店)を焼失させる事故が複数回発生しています。
また、「Morning Midas」号は2023年より、SAIC(上汽=上海汽車グループ)傘下の海運子会社である上汽安吉物流(SAIC Anji Logistics)によってチャーターされているとの報道もあります。同船は5月26日に煙台を出発し、6月15日にメキシコに到着する予定でした。
一部のネットユーザーは、上汽安吉物流の公式サイトからこの船の情報を特定しており、これに基づいて、積載されていた約3000台の車両は少なくとも大半がSAICの車ではないかという見方も出ています。