米国防総省、BYD・RoboSenseなど8社を軍関連リストへ 中国自動車関連企業の監視を強化

ブルームバーグおよび複数の海外メディアによると、米国国防総省は最近、議会に書簡を提出し、アリババ、バイドゥ、BYD を含む 8 社の中国企業を「第1260H条項リスト」(Section 1260H List)、すなわち米国が定義する「中国軍関連企業(CMCリスト)」に新たに追加するよう正式に提案しました。これは、米中首脳が韓国で会談する約3週間前に起きた動きであり、米国が貿易・技術分野の競争で圧力を強めるシグナルとみられています。

書簡の内容によれば、米国防総省のスティーブン・ファンバーグ(またはスティーブン・フェインバーグ)副長官は、2025年10月7日付で議員に宛てた書簡の中で、最新情報の審査を経て、8 社の中国企業が「中国軍事企業として分類される法的基準を満たす」と結論付けたと述べています。国防総省は、これらの企業が中国軍と関連性を有すると判断し、1260Hリストに追加すべきだとしています。

新規追加が提案された 8 社は以下のとおりです。

    • アリババ
    • バイドゥ(百度)
    • BYD
    • 成都新易盛通信(Eoptolink)
    • 華虹半導体
    • 速騰聚創科技(RoboSense)
    • 薬明康徳(WuXi AppTec)
    • 中際旭創股份(Zhongji Innolight)

一部の海外メディアは、この提案が米国のより広範な通商交渉における「交渉カード」となる可能性を指摘しており、同時に中米間の技術・サプライチェーン安全保障をめぐる緊張の継続を浮き彫りにしていると報じています。

「1260Hリスト」は、米国が毎年更新する中国軍工関連企業の識別リストであり、今年1月時点でテンセントやCATL(寧徳時代)など 134 社が掲載されています。

同リストに掲載されても自動的な制裁が発動されるわけではありませんが、一般的に次のような影響を伴います。

    • 米国防総省との取引・協力の制限が生じ、該当企業は米軍関連のプロジェクトや技術提供から排除される可能性があります。
    • 米国投資家に対するリスク警告となり、投信・年金基金などが規制リスク回避のため株式売却を検討する可能性があります。
    • 厳格なデューデリジェンスや事業審査の強化が行われ、米国市場での資金調達・事業提携・信用力に影響を及ぼす可能性があります。

直接的な影響は限定的とみられるものの、AI、半導体、ロボティクス、EV などの分野に関わる企業にとっては、将来の政策不確実性を高める要因となり得ます。

今回追加が提案された 8 社のうち、薬明康徳(WuXi AppTec)を除く 7 社は、電気自動車開発製造、AI、LiDAR、半導体、光通信モジュール、車載電子など、自動車関連の重要分野をカバーしています。速騰聚創科技(RoboSense)は LiDAR 開発で高い搭載率を誇り、華虹半導体は車載グレードの半導体量産を実現しています。成都新易盛通信(Eoptolink)と中際旭創(Zhongji Innolight)はスマートカー向け通信技術を手がけており、市場開拓の段階にあります。

今回の動きは、米国が中国の自動車関連企業のグローバル競争における存在感を一段と注視していることを示しています。専門家の多くは、中米双方が貿易関係の安定化に取り組む一方で、技術・サプライチェーン安全保障が依然として摩擦の焦点であるとの見方を示しています。

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