百度「Apollo Go」、香港でのテスト区域をさらに拡大──シンガポールおよびマレーシア市場への進出も視野に

百度(Baidu)が展開する自動運転モビリティブランド「Apollo Go(蘿卜快跑)」は、海外展開を加速させています。中国本土および香港におけるテストおよび運用の拡大を進めるなか、現在はシンガポールおよびマレーシアでのサービス提供も計画しており、グローバルな自動運転事業体制の強化を図っています。
6月18日、香港特別行政区の運輸署は、Apollo Goによる香港・東涌エリアの指定路線および時間帯における自動運転テストの実施を正式に承認しました。これは、同ブランドが2024年12月に香港での運用を開始して以来、3回目となるテスト区域の拡大となります。
これに先立ち、2024年4月30日には、運輸署が「道路交通(自動運転車両)規例」に基づいて自動運転試験許可証を更新し、テストエリアを北大嶼山地域へと拡大。あわせて、テストに使用される車両数も従来の5台から10台へと倍増させていました。今回の東涌都市生活圏への拡大により、より複雑な都市交通環境における実証実験が可能となります。
現在、Apollo Goは世界で1,000台を超える自動運転車両を配備しており、その大部分は中国国内に集中しています。公式データによれば、2025年第1四半期の時点で、Apollo Goの世界累計注文数は1,100万件を突破し、Alphabet傘下のWaymoが2025年5月23日時点で記録した1,000万件の有料注文数を上回りました。
また、6月20日付のBloomberg報道によれば、事情に詳しい関係者の話として、百度は早ければ2025年中にも「Apollo Go」のサービスをシンガポールおよびマレーシアで展開する計画であり、すでに現地の有力なパートナー企業と協議を開始し、それぞれの市場に適したビジネスモデルの構築を模索しているとのことです。
この件に関し、百度は現時点で公式なコメントを発表していません。ただし、同社の李彦宏(ロビン・リー)CEOはこれまでに、海外展開に際しては大規模な設備投資を行わず、現地のライドシェア企業、タクシー会社、車両運行事業者などと連携する効率的な事業モデルを採用する方針を示しています。
一方で、Apollo Goはヨーロッパおよびトルコ市場への進出も積極的に検討しており、スイス郵便の子会社PostAutoとの間で、自動運転タクシー導入に向けた協議を行ったと報じられています。