カーシェアリング向け融資額が暴落、業界内では「ブーム終了」(3)

資本はなぜ急に冷めたのか

 前出の投資家は、2015-2017年の資本が相対的に潤沢な中で、カーシェアリングが本当に良いビジネスなのかについては、あまりみんなが根掘り葉掘り聞かず、風向きを見ただけでチャンスを逃がすまいと、金を出していたが、風向きが変わってからはこの問題(本当によいビジネスかどうか)が重要になっている。

 「当時は1日に何億も費やしても問題ではなく、収益の見通しが立つまで待つ忍耐力があったが、今は違う。今はビジネス環境全体が悪くなって、資本が不足している」と同氏は、ビジネス環境の変化が、今年のカーシェアリング業界への投資意欲が後退した理由の一つだと見ている。

 「シェアリングエコノミーのブームが去り、特にシェア自転車の大失態はカーシェアリング業界に大きな衝撃を与えた」と、あるカーシェアリング会社の役員が、経済観察新聞の記者に明らかにした。

 また前出の投資家は、「カーシェアリングの運営コストが高すぎ、代替可能なものが多すぎる。市場に自家用車も、ネット配車もなく、大都市ではカーシェアリングだけが許される状況であれば、儲かるビジネスになるに違いないが、現実がそうではない。ネット配車すら稼げていない状況の中で、その補完サービスの一つとして、カーシェアリングビジネスは、稼げるはずがない」と話している。

 自動車のカーシェアリング事業者で全体の黒字化を達成できているものはほとんどない。前出の投資家によると、現在、これらのカーシェアリング企業に投資をする前に、利益が得られるかどうか、複製不可能な価値があるかどうか、将来的に目に見える利益が得られるかどうかなど、より多くの指標を設定してスコアを査定している。

 ビジネス環境全体が冷え込んだほか、投資家がカーシェアリングに対して理性的になったもう一つの原因は、新エネ車の補助金政策の後退だ。投資家の目には、カーシェアリング自体が「新エネルギーとモビリティの融合」をサポートする派生的な産業と映る。

 運営コストの高止まりに加えて、補助金が後退すると、カーシェアリング業界全体が危機にさらされる。「カーシェアリングの価値は、ナンバープレート資源の活性化、地域の車資源の活性化、および稼働率を上げることにある。利益を得るためには、車両調達価格、パーキング、ナンバープレートなどから掘削可能な価値を探すしかない」と、別のカーシェアリング企業の役員が、記者に明らかにした。

 しかし、前出の投資家は、資本のカーシェアリングへの投資が縮小することが、この業界の将来性に対する失望を意味するとは考えていない。投資家はより理性的になっているだけだ。投資規模全体が縮小し、投資頻度が低くなっているが、一件あたりの投資金額がむしろ大きくなっているとの見方を示した。

 投資ラウンドを見ると、ラウンドBとラウンドB以降の投資比率が拡大し、投資ラウンドの後ずれ傾向が明らかになっている。資本は、マーケットでの検証を経て、運営経験が成熟している企業をより好むようになりつつある。

 再び前出の「蜂鳥出行」の創業者兼CEOの劉国棟氏に今後の見通しについて意見を尋ねると、「最初の2年間はカーシェアリングがブームにさらされていたと思うが、ブームは決していいことではなく、ただみんながバスに乗り遅れたくなかっただけだ。今は資本が比較的慎重になる中で、みんなが目を覚ますようになり、この業界もそろそろ本格的にビジネスの本質に回帰し始めているのではないだろうか」と劉氏が述べた。

(終わり)


参考記事:https://www.d1ev.com/news/shichang/98720

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