テスラFSD代替版、中国でついに提供開始!信号誤認や車線変更不具合で「自動運転の神の座」が危うい?

2月25日から、テスラが中国市場向けに高度運転支援機能の最新テスト版を提供開始したことが明らかになりました。一部のメディアは、テスラのFSD(完全自動運転)機能が中国で正式に導入されたと報じています。
テスラの中国公式ウェブサイトでは、FSDが「完全自動運転機能」から「インテリジェント運転支援機能」に名称変更されており、運転者による監視が求められることが明記されています。また、今後の機能追加にはさらなる開発や行政の承認が必要であり、これには時間がかかる可能性があることも示唆されています。
一部メディアがテスラの販売店に問い合わせたところ、今回テスラが提供するのはまだFSDではなく、あくまで「インテリジェント運転支援機能」であるとの回答を得ています。また、アップグレードパッケージには追加で6.4万元を支払う必要があり、さらにHW 4.0ハードウェアを搭載した車種のみが使用できるとのことです。
マスク氏は、中国でのローカライズトレーニングができないため、FSDのトレーニングにおいて、インターネット上で公開されている中国の道路や標識の動画を利用してシミュレーションを行っていることを説明しました。そのため、現在のバージョンは一部の機能に制限がかけられた簡易版ではなく、北米のFSDとは別物であり、中国向け「FSD代替版」と呼ぶ方が適切だと考えられます。
FSD代替版の中国国内での初期のテスト結果について、テストを行ったブロガーたちからは予想外のフィードバックが多かったようです。例えば、FSDが信号機を誤認識し、赤信号を無視して交差点を通過する場面が確認されました。一部のテストでは、FSDが左折信号が青のときに直進してしまうなど、信号機の認識に問題が見られました。
また、実線を越えて車線変更を繰り返すなど、運転支援機能に関する課題も浮き彫りとなっています。さらに、FSDは交差点での信号識別や車線変更において精度を欠いており、テストブロガーの中には急接近する車両に対してFSDが反応しない事例も報告されています。加えて、1回のテスト走行で繰り返し違反を犯し、あっという間に12ポイントが減点され、免許停止となったブロガーもいたと伝えられています。
動画を使ったシミュレーションに頼ることが、今回のFSD代替版が赤信号を無視したり、実線で車線変更したりする問題の根本的な原因であると考えられます。今後、FSD代替版が国内の各種ナビゲーションソフトと連携を深めることで、性能が向上し、信号や道路標識の認識能力も高まると考えられますが、中国の道路データを収集してトレーニングすることがいつ実現できるかは依然として不透明です。
そこで問題となるのは、このFSD代替版の自動運転機能が6.4万元の価値があるかどうかです。それは、ファーウェイのADS 2.0(3万元/年)の2.1倍、XpengのXNGP(2万元/年)の3倍以上に相当します。テスラのファンたちは「マスクのオーラ」に対してお金を払うことを惜しまないかもしれませんが、最近、テスラのブランドイメージは厳しい試練に直面しています。
マスク氏の政治的な転向の影響を受け、テスラの販売は減少しており、特にヨーロッパでは1月の販売が前年比45%も落ち込み、テスラの株価も暴落しました。中国市場では、地場ブランドからの挑戦が強まり、特にBYDが打ち出した「誰もが使える自動運転」(高度運転支援機能の無料化)の圧力が増しています。そのため、販売が減少するのも時間の問題と言えるでしょう。テスラは早期にFSDを中国に導入することで収益を増やし、競争力を維持できると期待しているかもしれませんが、中国市場では、自動運転がユーザーを引きつける手段であって、利益を得る手段ではないことに気づくことになるでしょう。
中国の自動運転業界では、以前からこんな過激な意見がありました。「FSDが中国に導入されるまでは、FSDは人々にとって永遠の神のような存在だ。しかし、一度導入されれば、その神の座から転げ落ちることになる。」