ウーバーも選んだMomenta 外資系が信頼する理由は「技術力」と「中立性」

5月2日、ウーバーとMomentaは、米国および中国以外の国際市場において、自動運転車をウーバーのプラットフォームに導入するという戦略的合意を発表しました。両社が発表したリリースによれば、Momentaはまず2026年初頭にヨーロッパで、安全運転員を同乗させた自動運転車の展開を開始する予定です。両社は、ウーバーのグローバルな移動ネットワークとMomentaの自動運転技術を組み合わせ、安全・信頼性・リーズナブルな価格を備えたロボタクシーサービスの提供を加速させる計画です。

世界的にスマート運転技術の実用化が加速する中、多くの外資系企業がMomentaとの提携を選び、自動運転および運転支援ソリューションの商業化を推進しています。今年の上海モーターショーでは、ホンダや上汽フォルクスワーゲンなどが、複数の車種にMomentaの運転支援システムを搭載することを発表しました。東風日産のN7広汽トヨタのbZ3Xなども、Momentaのスマートドライブソリューションを採用しています。Momentaの顧客は、トヨタ、ホンダ、日産、VW、GMなどの主要な外資系合弁ブランドにまで広がっており、その価値が高く評価されていることがうかがえます。

では、なぜ外資系企業はMomentaを選ぶのでしょうか?その理由は「価格の安さだけ」ではない、という見方があります。

第一に、Momentaは自動車メーカーとは異なり、自動運転業界においてはアルゴリズムおよびソフトウェアのコアサプライヤー(Tier 2)という立場にあり、Tier 1のシステムインテグレーターや完成車メーカーとの協業に長けています。自らは車両製造に関与していないため、完成車メーカーにとって競合リスクがありません。この「中立的な立場」こそが、外資系自動車メーカーにとって重要な魅力となっています。これに対し、Li AutoやXpengのような新興EVメーカー、あるいは名目上は車を製造していないものの、「鴻蒙智行(HarmonyOS)」により実質的に独自ブランド化が進むファーウェイとの協業では、ブランドやエコシステムの主導権を握られるリスクがあります。

第二に、Momentaは中国のスマート運転分野における「リーダー」として広く認知されており、ファーウェイやLi Auto、Xpengと肩を並べる存在です。Momentaは高い技術力を持ち、ソリューションは成熟しており、価格も妥当で、量産の実績も豊富です。特に都市部でのNOA(ナビゲーション付き運転支援)に注力しており、現時点で都市NOA(注)ソリューションを提供できるのはファーウェイ、DJI(大疆)、そしてMomentaの3社のみです。ファーウェイは価格が高く、ソフトとハードが一体となったTier 1としての提供であるため、柔軟性に欠けます。一方、DJIは主にビジョンベースのソリューションを提供していますが、中国国内市場ではLiDAR搭載が一般的になっており、そのため車載コンピューティングプラットフォームに対する特別な要件が発生し、適応が複雑になります。

以上を総合すると、外資系企業がMomentaを選ぶのは、単に技術力やソリューションの実現性、量産経験に優れているからだけではなく、「中立的なサードパーティー」としての立場、柔軟な協業姿勢、競合リスクのなさ、そして現在の国際的・政策的な背景の中で、数少ない実行可能な高品質パートナーであることが大きな理由となっています。

注:都市NOA(Navigate on Autopilot)とは、先進運転支援システム(ADAS)の一種で、目的地を設定すると自動的に運転する機能であり、中国の自動車メーカーがテスラのFSD(Full Self-Driving)に倣って開発しており、都市道路では運転者がペダルから足を離して手放運転することができます。

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