Li AutoとCATL、5年の全面戦略提携──EV転換と海外進出を支えるバッテリーパートナー

9月18日、新興メーカーのLi Auto(理想汽車)と動力電池大手のCATL(寧徳時代)は、中国福建省寧徳で5年間にわたる全面戦略協力協定を締結し、授牌式を行いました。
協定に基づき、CATLはLi Autoの全車種に対して、高性能・高安全・高品質の動力電池システムを提供します。三元リチウム、M3P、リン酸鉄リチウム、ナトリウムイオン電池など多様な技術が対象となり、Li Autoが目指す高端純電モデルの中核を担います。
Li Autoはこれまでレンジエクステンダー付きEV(REEV)で市場を開拓してきましたが、今後は純電動車(EV化)への転換を加速させます。EV化とグローバル市場進出を進める上で、最先端の電池サプライヤーとの協力は不可欠であり、CATLはその最有力パートナーとなります。特に同社の「麒麟電池」や、最新のNP3.0安全技術を搭載した「神行Pro」などは、エネルギー密度や超高速充電、寿命、そして安全性の面で業界をリードしており、Li AutoのハイエンドEV戦略に最適です。
Li Autoによると、同社はすでにCATL製電池を搭載した車両を100万台以上納車しており、電池が原因となる熱暴走事故は一件も発生していません。家庭ユーザーを主対象とするLi Autoにとって、安全性はブランドの生命線であり、CATLの包括的な安全体系が強固な後ろ盾となっています。
一方でLi Autoは、2025年を「海外市場開拓元年」と位置づけています。海外展開には現地サプライチェーンが不可欠ですが、CATLはすでにインドネシアや欧州(スペインを含む3カ所)で電池工場を建設・計画しており、グローバル供給網を整えつつあります。Li Autoにとって、この「地産供給網」は、貿易障壁の回避や物流コスト削減、現地規制対応に大きな意義を持ちます。
財務面でも、2025年上半期のCATLは売上高1,788.86億元(前年比7.27%増)、純利益304.85億元(33.33%増)、現金保有3,500億元超と、圧倒的な安定感を示しています。動力電池の世界シェアは38.1%に達し、ストレージ分野でも世界首位を維持しています。
今回の協力は、Li Autoにとっては「EV転換+海外市場開拓」という二大戦略を進める強力な推進力となり、CATLにとっては自社の最新技術を高端ブランドで検証・展示する機会となりま す。両社の利害は一致しており、この提携は単なる供給契約にとどまらず、技術・市場・安全を包括する深度協力と位置づけられます。