ファーウェイ、9月11日からADS 3.0をAITO全モデルに対応、エンドツーエンド自動運転で挑む新時代

9月10日に開催されたファーウェイの「鴻蒙(Harmony)智行新製品発表会」で、常務取締役の余承東氏は、9月11日から鴻蒙智行シリーズ全体がファーウェイADS 3.0システムに順次アップグレードされ、AITO(問界)M5、M7、M9などの全モデルに適用されると発表しました。ADS 3.0はファーウェイが開発した高度運転支援システムであり、進化した自動運転機能を備えており、ファーウェイのスマート運転分野における重要なマイルストーンとなっています。

ADS 3.0の概要

ファーウェイの説明によると、ADS 3.0システムは、エンドツーエンドのヒューマノイド運転体験を提供し、複雑な道路状況に対応しながら、スムーズな運転と緊急時の対応能力の向上を実現します。このバージョンでは、ファーウェイが開発したGOD認知ニューラルネットワークを採用し、物体認知からシーン理解までの性能を向上させました。また、ADS 3.0はファーウェイクラウドの強力なコンピューティングプラットフォームを活用し、5E FLOPSの演算能力を備え、国内の競合他社をリードしています。

ADS 1.0からADS 3.0への進化

ファーウェイのADSシステムは、バージョン1.0から3.0に至るまで、数多くの改良が加えられてきました。ADS 1.0は、初期のテスラと同様にカメラ、ミリ波レーダー、レーザーレーダーを統合し、BEV(Bird’s-Eye-View=鳥瞰図)視点を生成してルールベースの運転操作を行うものでした。しかし、ファーウェイはこの過程で、センサーの品質不足や電子アーキテクチャの帯域幅制限、センサーのレイアウトの最適化不足など、複数の課題に直面しました。

ADS 2.0では、テスラが採用した「Occupancyネットワーク」に類似するGODネットワーク(General Obstacle Detection Network)が導入され、複雑な道路構造や異形の障害物に対する認知能力が向上しました。さらに、ADS 2.0ではナビゲーションデータも統合され、自動運転の精度が一層高まりました。

ADS 3.0では、BEV視点を廃止し、GODネットワークを強化したシステムに移行しました。これにより、目標障害物認知、道路構造理解、シーン理解の3つのモジュールが追加されました。この変更は業界内で賛否を呼んでおり、特にBEV視点を廃止した点について意見が分かれています。ファーウェイのADS 3.0は、エンドツーエンドアーキテクチャを採用し、ニューラルネットワークを使用して認知から計画までを一体化し、従来のルールベースのアプローチに依存しない設計となっています。

テスラが最新のFSDに導入したエンドツーエンドの運転技術は、大量の運転データを基に、人間の運転に近いパターンを再現することを目指しています。これは、従来のように複雑なルールで運転操作を定義するのではなく、ディープラーニングを用いて環境を意味的に理解する手法です。中国の自動車メーカーもこれに追随し、エンドツーエンドアーキテクチャへの移行を進めています。

今後の展望

ファーウェイのADS 3.0のリリースは、スマート運転分野における重要な技術革新を象徴しています。初期のADS 1.0がルールベースとセンサーフュージョンに依存していたのに対し、現在のADS 3.0はエンドツーエンドの大規模モデルを活用し、人間により近い運転体験を提供すると期待されています。

しかし、ADS 3.0のエンドツーエンドアーキテクチャはまだ発展途上であり、実際の道路でのパフォーマンスや極端な状況への対応能力については、今後さらに検証が必要です。また、中国の自動車業界では過大な宣伝が見られることもあり、その実力を過信せず、慎重に見極める必要があります。

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