車両欠陥隠蔽防止へ OTA規制を強化 ― 当局新指針

2月28日、工業情報化省(MIIT)と国家市場監督管理総局(SAMR)は、「スマートコネクテッドカー製品の認可、リコール、およびソフトウェアOTA管理の一層の強化に関する通知」(以下「通知」)を発表しました。

この通知の目的は、運転支援システムを搭載し、ソフトウェアオンラインアップグレード(以下、OTAアップグレード)機能を持つスマートコネクテッドカー製品の認証とリコール管理をさらに改善し、自動車製造業者のOTAアップグレード活動を規範化することです。

主な内容

OTA実施の事前届出

企業がOTAアップグレードを実施する際は、工業情報化省および市場監督管理総局に所定の手順で届出を行い、アップグレード後の製品が国家の法令、技術基準などを満たすことを保証しなければなりません。

市場監督管理総局は届出内容の評価と監督検査を実施し、企業がOTAで欠陥隠蔽や責任回避を行うことを防止します。

OTAの分類管理強化

    • 主要技術パラメータに影響しないOTA: 届出完了後、直ちに実施可能。
    • 主要技術パラメータ変更を伴うOTA: 製品変更許可取得および届出後に実施。
    • 自動運転機能関連のOTA: 認可管理規定に基づき許可を取得する必要あり。
    • リコール対応OTA: 「欠陥自動車製品リコール管理条例実施弁法」に従い、欠陥車の生産・販売を即時停止。主要パラメータ変更時は許可取得後に生産再開。

管理連携の強化

工業情報化省と市場監督管理総局はOTA届出情報共有メカニズムを構築し、技術進展に応じて要件を最適化し、共同監督管理を推進します。

規制の背景

OTAはインターネット経由で自動車メーカーが車両ソフトウェアをオンラインで更新できる技術であり、最新のオペレーティングシステムやアプリケーションの更新により性能を向上させたり安全性を強化したり新たな機能を導入したりできますが、物理的に車両にアクセスする必要はありません。

一部の自動車メーカーは既知のハードウェアまたはソフトウェアの欠陥を正式な製品リコールではなくOTAアップデートで隠蔽しようとする可能性があります。このような行為は未テストのアップデートが新たなエラーを引き起こすか問題を完全に解決できないため、安全上の懸念を引き起こす可能性があります。

過去の規制対応

2020年11月、市場監督管理総局は「自動車OTAアップグレード技術を用いたリコール監督管理の強化に関する通知」を発表し、生産者に対しOTAによる製品欠陥修正の適用状況を監視当局に届け出ることを義務付けました。主な監督対象は、OTAを活用した欠陥解消プロセスの透明性と適正性に焦点が置かれました。

これに先立ち、管理当局が懸念したOTA技術の主なリスクは以下の三点であった:

    • OTAによる欠陥修正の有効性 ― ソフトウェア更新のみでハードウェア欠陥を根本解決できるか
    • OTA経由のセキュリティリスク ― 不正アクセスや遠隔操作などのサイバー攻撃の可能性
    • 企業の責任回避行為 ― OTAを利用した欠陥隠蔽やリコール義務の不履行

こうした課題を踏まえ、「アップグレード」と「欠陥修正」の境界を明確化するため、政策は段階的に強化されてきました。2024年8月には工業情報化省が「スマートコネクテッドカーの認可・リコール・OTA管理強化通知(意見募集稿)」を公表し、ADAS搭載車両の市場参入基準厳格化とOTA運用の体系的管理を打ち出した。

今回の制度施行の意義

今回の「通知」の発表は関連する管理制度の整備と正式な施行です。本制度の正式施行は、以下を実現する転機となる:

    • 「隠蔽ツール」から「機能改善ツール」へ ― OTAの本来の目的であるソフトウェア最適化への回帰
    • 消費者の権益保護 ― 脆弱性修正や性能向上を迅速に提供する透明な仕組みの構築
    • 企業の責任明確化 ― OTAをリコール代替手段として濫用する行為の排除

この措置により、自動車メーカーは技術的・法的基準を遵守しつつ、OTAを「製品品質向上の手段」として適正に運用することが求められます。

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