BYD、2月販売41%減 競合が伸びる中で際立つ失速

中国主要自動車メーカーの2月販売実績が相次いで公表される中、最も衝撃的な数字となったのは業界首位のBYDでした。

BYDが公表した生産・販売速報によりますと、同社の2月の新エネルギー車(NEV)(卸売)販売台数は190,190台にとどまり、前年同月比で41.1%の大幅減となりました。1〜2月累計販売台数は400,241台で、前年同期比35.8%減となっています。生産台数も前年比38.4%減と、販売とほぼ同じペースで縮小しました。

ここ数年、高成長を維持し「中国EV市場の象徴」とも称されてきたBYDにとって、この下落幅は極めて異例であり、市場の想定を大きく上回るものでした。

春節連休の影響により販売期間が短縮され、新エネルギー車各社の販売は総じて前月比で落ち込みました。しかし、前年同月比で比較すると、BYDの減速は際立っています。

新興EVメーカーに目を向けると、多くの企業は依然として成長、もしくは小幅な変動の範囲にとどまっています。Leapmotor(零跑汽車)は28,067台を販売し、前年同月比10.99%増を維持しました。ファーウェイ系の鴻蒙智行は28,212台で同31%増、Li Auto(理想汽車)は26,421台で同0.6%増、NIO(蔚来)は20,797台と同57.6%増を記録し、いずれも堅調な伸びを示しています。シャオミ(小米汽車)は1月からほぼ半減したものの、なお2万台規模を維持しました。一方、Xpeng(小鵬汽車)は前年同月比49.9%減とBYDを上回る落ち込みとなりましたが、販売規模自体は1.5万台規模にとどまっています。

伝統系メーカーとの比較では、差はさらに明確になります。Geely(吉利汽車)の2月総販売台数は206,160台で、そのうち新エネルギー車は11.7万台と前年同月比19%増を記録しました。主力ブランド「Galaxy(銀河)」は単月73,125台を販売し成長を牽引、「Zeekr(極氪)」も23,867台と前年比70%増の大幅成長となりました。

多くの競合が成長、あるいは緩やかな調整にとどまる中、BYDのみが40%を超える前年比減少となった点は際立っています。絶対的な販売台数では依然として業界首位を維持しているものの、成長率という観点では、主要メーカーの中でも最大級の落ち込みとなりました。

もっとも、2月は28日しかなく、春節休暇も重なったため、実質的な販売期間は半月未満でした。販売規模が大きい企業ほど、前年比の変動が拡大しやすい側面があります。

しかし、より本質的なのは、複数の構造的変化が同時に進行している点です。

第一に、政策効果の弱まりです。2026年から新エネルギー車購入税は全額免除から半額減税へと変更され、地方補助金の移行も遅れたことで、消費者の様子見姿勢が強まりました。販売規模の大きいメーカーほど政策依存度が高く、需要調整の影響を先に受けやすいとみられます。

第二に、新エネ車の普及率が一巡し、市場が踊り場に入りつつあることです。中国の新エネルギー車普及率はすでに50%を突破し、市場は増量競争から既存需要の奪い合いへと移行しました。技術優位だけで成長できた時代は終わり、価格、ブランド力、販売網の効率が競争の決定要因となっています。

第三に、競争構造の変化です。GeelyはGalaxyとZeekrによる多層的な商品展開を進め、新興メーカーは知能化分野で差別化を加速しています。特に10万〜20万元帯という最大市場で競争が急激に激化しており、これはBYDが最も強みとしてきた主戦場でもあります。

競争が全面的な接近戦へ移行する中、規模の大きさそのものが、調整局面では変動幅を拡大させる要因となっています。

国内市場が減速する一方で、唯一の明確な明るい材料となったのが輸出です。BYDの2月新エネルギー車輸出台数は100,600台に達し、前年比41.4%増となりました。海外販売比率は初めて50%を超え、販売重心が急速に海外へ移行しつつあることを示しています。

もっとも、この海外成長を巡っては評価が分かれています。肯定的な見方では、欧州、東南アジア、ラテンアメリカ市場での展開が成果を上げ始め、海外市場が国内競争圧力を吸収する新たな成長エンジンになると指摘されています。

一方で、慎重な見方もあります。輸出台数は通関ベースで集計されるため、実際の小売販売との間に時間差が存在する可能性があるほか、欧米の貿易政策、消費者嗜好、現地ブランドとの競争が長期的な拡大を制約する可能性も指摘されています。

つまり、海外成長が同社にとって「第二の成長曲線」となるのか、それとも一時的な出荷拡大にとどまるのかについては、現時点では結論が出ていません。

190,190台という数字自体は依然として多くの中国メーカーが到達できない規模です。しかし、前年までの成長軌道と比較すると、今回の数字は急ブレーキとも言える変化を示しています。

BYDの今回の下落は、新たな競争段階の始まりを告げる最初のシグナルである可能性があります。

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