現代自、中国工場2ヵ所を売却へ 販売台数は6年間で77%減少
現代自は6月20日、中国にある2つの工場を売却すると発表しました。
現代自の現地合弁会社である北京現代はかつて、フォルクスワーゲンやトヨタといった有力ブランドと競合し、国内市場で成功を収めていました。現代自は2002年に中国での生産を開始し、全盛期には北京市の3工場のほか、河北省滄州市と重慶市に1工場ずつ、総生産能力は165万台に達していた。2016年には年間販売台数が116万台を超えるなど、非常にパフォーマンスがよかった。その成功の要因は、北京現代の車種の外観デザインが中国の消費者に好まれたことや、日本やドイツ系の合弁ブランドよりもリーズナブルな価格設定などが挙げられます。
しかし、2017年以降、新エネルギー車市場や地場メーカーの台頭により、北京現代の販売台数は減少傾向にあります。2022年時点では現代自の中国での販売台数は26万台にとどまり、6年間で77%減少した。
販売台数の激減に伴い、生産能力も減少せざるを得なくなりました。現代自は、2021年に北京第1工場を60億元でベンチャー系新勢力の理想汽車に売却し、2022年に重慶工場を閉鎖、今年に入って滄州工場も閉鎖した。今回、どの工場が売却されるのかは明らかにされていませんが、操業停止中の重慶工場と滄州工場と推察されています。残る2つの稼働中の北京工場では生産を最適化し、新興国市場への輸出を拡大する方針です。
現代自は生産能力を削減するだけでなく、中国市場での製品ラインアップも見直す予定です。現在の13車種を8車種に減らし、SUVや高級ブランド車であるジェニッセイに注力する方針です。また、近々中国市場への参入を発表する予定の高性能Nブランドにも力を入れる予定です。
2つの工場の売却は、現代自が中国市場から撤退する準備の一環ではないかとの見方はありますが、現時点では、現代自が中国市場から完全に撤退する可能性は低いとされています。現代自内部では改革が進められており、将来的にはよりハイエンドモデルに注力し、ブランドイメージの向上を図る予定です。さらに、今年の3月には中国と韓国の投資家が北京現代に60億元の出資を行ったことが公開資料で明らかになっています。
一方で、現代自は、世界全体に占める中国の割合は5%にとどまっているものの、米国やインド市場での生産能力は増加し続けており、2026年の世界販売台数は920万台に達する見込みだと報じられています。