LeapMotor、南米に本格参入──急成長の陰で問われる収益モデル

11月25日、中国の新興EVメーカーLeapMotor(零跑汽車)はブラジルとチリで相次いで新型車を発売し、さらにブラジル・サンパウロモーターショーにも出展して、南米市場への本格参入を果たしました。同社にとって国際展開の新たなスタートとなります。両国では、スマートラグジュアリーSUV「C10」のEV版とレンジエクステンダー版、中型EV SUV「B10」を発売し、サンパウロモーターショーでは6人乗りスマートEV SUV「C16」も披露しました。LeapMotorはブラジルを起点に、南米地域でEVおよびレンジエクステンダーを含むフルラインアップの電動車を展開していく方針です。

2025年末までに、ブラジル27都市で36店舗、チリで5店舗の販売網を構築する計画で、今後はアルゼンチン、コロンビア、エクアドルといった市場へも順次進出していきます。Stellantisグループの販売・アフターサービスネットワークを活用し、LeapMotorの海外販売拠点はすでに700拠点を超え、35の国と地域をカバーしています。海外販売網の規模は、中国の新興EVメーカーの中で首位となっています。

また、デジタルキーやリモート操作、充電ルート案内などを統合した「LEAP+」コネクテッドプラットフォームを導入し、ZletricやGreenVといった現地の充電サービス企業と連携しています。無料充電や自宅用充電設備の設置サポートなどの特典を提供し、サービスの現地化を進めています。

近年、LeapMotorは中国国内でも存在感を急速に高めています。LeapMotorの創業者であり会長兼CEOの朱江明氏は、早くも2019年の時点で「2025年に50万台の年間販売を達成する」と述べていましたが、今年の累計販売台数はすでに50万台を突破し、2025年の販売目標を前倒しで達成しました。今年3月以降、8か月連続で中国の新興EVメーカー月間販売トップを維持し、9月に初めて6万台を超え、10月には7万台を突破するなど、新興メーカーの月販記録を更新し続けています。

海外市場もLeapMotorにとって第二の成長軸となりつつあります。2025年1〜10月の累計輸出台数は4.4万台を超え、中国の新興EVメーカーとして輸出台数トップとなり、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど主要欧州市場にも進出しています。

LeapMotorの足元の業績は好調に見えますが、同社の強みは主に「コストパフォーマンス」に依存しており、車両単価が低い一方で利益率は高くありません。これまでに公表された決算によりますと、今年第1四半期の粗利益率は過去最高の14.9%を記録しましたが、2024年同期はマイナス1.4%、同年第4四半期は13.3%でした。

第1四半期の粗利益率が改善した要因について、LeapMotorは、販売拡大によるスケールメリット、継続的なコスト管理、そして製品構成の最適化を挙げています。

しかし、これらの数字が示すのは、LeapMotorの販売が頭打ち、あるいは減少に転じた場合、利益がすぐに悪化しかねないということです。独自の競争力が確立されていないまま、コストパフォーマンスだけに頼った戦略で、今後も成長を維持できるかどうかは依然として不透明です。

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