Polestar中国市場が事実上停滞 7月の販売は6台、欧州シフト進むも前途多難

2025年上半期、Polestar(極星)の中国における小売販売台数は、累計でわずか70台未満にとどまりました。3月にはたった1台の納車、4月と5月の販売データは非公開で、6月には6台にまで落ち込み、中国市場での事業はほぼ停止状態となっています。
Polestarは、スウェーデン・イェーテボリに本社を置く高性能電気自動車のメーカーで、元々はチューニング会社としてスタートしました。2005年にボルボの高性能車部門のサプライヤーとなり、2015年にボルボに完全買収されてからは、電動高性能モデルの開発部門へと転換されました。そして2017年10月に独立ブランドとして再出発し、現在はGeelyホールディング(吉利控股)とボルボの共同出資によって運営されています。2020年には、中国市場向けに全額出資の現地法人「Polestar中国」を設立しました。
同社はこれまでに「Polestar 1」「Polestar 2」「Polestar 3」「Polestar 4」の4車種を展開しており、これらはボルボのSPAおよびCMAプラットフォーム、ならびにGeelyのSEAアーキテクチャーを基盤として開発されています。
中国市場においては、他の新興EVブランドと比べて、Polestarのブランド認知度や存在感は相対的に低いと言わざるを得ません。
Polestarは、高いスタートラインから始まりました。当初はテスラをターゲットにした高級志向を掲げましたが、後に販売拡大を狙って大衆市場への転換を試みました。初期モデルの「Polestar 1」は100万元を超える価格設定だった一方で、「Polestar 2」は29.98万元にまで値下げされ、さらに複数回の大幅値下げも実施されました。この結果、ブランドの市場ポジショニングが定まらず、一貫性に欠ける印象を与えています。
2020年から2023年までの世界累計販売台数は14.53万台で、2024年における中国市場の販売比率はわずか7%にすぎません。
同社は中国、米国、スウェーデンに工場を持ち、韓国ではルノーの工場を借用して生産を行っていますが、販売台数が分散しているため、各モデルの生産効率は低い状況です。2021年から2023年にかけての累積損失は20.16億米ドル、2024年前3四半期の純損失は8.63億米ドルに達し、前年同期比で67%以上拡大しました。2022年の上場以来、株価は90%も下落し、2023年5月には1ドルを下回る水準が続いたことで、ナスダックからの上場廃止警告を受けました。
現在、Polestarの事業の重心は引き続き欧州市場に移りつつあり、中国事業の縮小も重要な一歩と位置づけられています。2025年初頭からは、営業および運営部門での人員削減を進めており、公式サイトによれば中国国内に36店舗あった拠点のうち、14店舗がすでに営業を停止しており、営業中の店舗もその多くがショッピングモール内の展示ブースとなっています。
今年4月には、中国での販売パートナーである「星紀魅族」との合弁事業を解消し、中国市場での販売権を自社に取り戻しました。また、アメリカでの関税政策の影響により、「Polestar 2」は2024年4月に米国市場から撤退しました。
欧州がPolestarにとって最も重要な市場となっています。2024年の欧州市場における販売比率は全体の75%に達しており、イギリス、スイス、ドイツ、ノルウェーなどが主要な市場です。今後は、より高級モデルの投入と海外生産体制の強化を軸に戦略を展開していく見通しですが、中国市場を失ったことにより、厳しい状況が続くと見られます。