テスラFSD中国配信停止の背景:外資メーカーが直面する中国のコンプライアンス壁

3月17日、テスラ中国は「1か月間限定のFSD(完全自動運転)体験キャンペーン」を開始すると発表しました。対象車両には順次ソフトウェアと地図データの更新が配信される予定でした。しかし、開始からわずか7日でこのキャンペーンは突然中止され、多くのテスラユーザーの間で話題になりました。

3月24日、テスラカスタマーサポート公式アカウントは、同社副総裁のタオ・リン氏の微博(ウェイボ)コメント欄で「FSD配信一時停止」に関する声明を発表しました:

中国におけるテスラの自動運転支援機能の展開は、広く注目されています。最新で発表された「スマートコネクテッドカー製品の認可、リコール、およびソフトウェアOTA管理の一層の強化に関する通知」の要求に基づき、現在弊社の技術チームはハードウェア3.0および4.0に対応する自動運転ソフトウェアの審査手続きを進めています。関係各所がプロセスを積極的に推進しており、準備が整い次第、速やかに配信を再開します。

テスラの回答から見ると、2月28日に工業情報化部(工信部)が発表した同通知が今回の騒動の直接的な原因となりました。新規則では、自動車メーカーはソフトウェア更新前に「公告(公示)-届出(申請)」の二重手続きを完了する必要があり、「先に更新、後で届出」という方法が禁止されました。さらに(自動運転など)機能安全に関わる重要な変更は、認可管理規定に基づき許可を取得する必要あると明記されました。

この規定により、テスラはFSD配信を緊急停止せざるを得ませんでした。同機能は2月15日に小規模テストを開始していましたが、ハードウェア3.0および4.0版の審査備案はまだ完了していませんでした。今回の配信停止は、自動運転技術のコンプライアンス(法令遵守)問題を浮き彫りにしました。中国市場では、技術開発だけでなく、現地規制への適応も外資系自動車メーカーが重視すべき課題です。

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