11月の国内乗用車小売が3年ぶりの前年割れ:BEV比率が上昇し、市場構成が変化 2026年は下押し圧力も

11月の国内乗用車市場では、珍しく前年同月比で減少がみられました。
12月8日に乗用車市場情報連席会(乗連会)が公表した最新データによると、11月の全国乗用車小売販売台数は222.5万台となり、前年同月比で8.1%減、前月比でも1.1%減となりました。年末特有の「駆け込み需要」は今年は見られなかった形です。
過去の推移を踏まえると、これは2023年以来、乗用車小売が初めて前年割れとなった月であり、10月の0.5%減と比べても落ち込みが拡大しています。
今年、販売の伸びを下支えしてきた主要施策の一つが「買い替え支援」補助金です。10月22日の時点で申請件数は1,000万件を超え、1〜11月の累計は1,120万件に達しました。しかし、各地域で補助の停止が相次いだことで、11月は1日あたりの申請件数が3万件まで減少しました。
一方で、廃車や買い替え需要の増加、新エネルギー車に対する購入税免除といった複数の政策が重なり、11月の国内新エネルギー車(NEV)の小売シェアは59.3%と過去最高を更新し、前年同月から7ポイント上昇しました。内訳を見ると、純電動車(BEV)のみが前年を上回り9.2%増となり、レンジエクステンダー付きEV(EREV)は4.3%減、プラグインハイブリッドEV(PHEV)は2.8%減、ガソリン車は22%減となっています。また、新興メーカーでは、BEVとREEVの販売構成比が前年11月の57対43から、今年は73対27へと変化し、BEVモデルの比重が一段と高まりました。
乗連会は併せて、今年12月は営業日数が23日と、前年より1日、11月より3日多いことから、生産・販売の進捗に余裕が生まれると指摘しています。また、年明けに新エネルギー車の税制優遇が変更されることを見据え、年末の消費者は納車時期をより重視する傾向にあり、人気車種の納期が長期化していることから、より早く納車される車種へ購入を切り替える例も増えているとしています。
11月は小売販売が前年・前月ともに減少した一方で、生産や出荷が増えたため、販売店側の在庫が積み上がる状況となり、乗用車全体の在庫は単月で6万台増加しました(前年同期は22万台減)。
自動車業界の低い利益率は、今後の懸念材料になるとみられています。乗連会によると、10〜11月にかけてNEVの在庫積み増しが続いたことで、市場が需要を過大に評価し、これを受けて上流の炭酸リチウム業界が過度に反応して価格を引き上げたといいます。1〜10月の有色金属業界の販売利益率が30.3%に達する一方で、自動車業界はわずか4.4%にとどまり、完成車メーカーの収益が細りつつある状況が浮き彫りになっています。
乗連会は、12月の市場について、全体としてはおおむね安定的に推移し、わずかなマイナス成長となる可能性はあるものの、新エネルギー車(NEV)の小売は堅調に推移する見通しであるとしています。
2026年については、NEVの購入税が現在の全額免除から半額課税(税率5%)へと縮小される予定であり、その結果として免税優遇の減少額は1000億元を超える見通しです。このため、市場には大きな下押し圧力がかかると予測されています。