新エネ車発展計画における電力消費制限目標がコネクテッド発展の足かせに?
12月3日、 工業情報化省は、「新エネルギー自動車産業発展計画(2021-2035年)」(意見募集稿)を正式に発表し、今後15年間の新エネ車産業発展ロードマップを明らかにすると同時に、新エネ車のコア技術について2025年までに電気自動車の新車の平均消費電力を12KWh/100kmに、プラグインハイブリッド(レンジエクステンダー付きを含む)の新車の平均燃費を2.0L/100kmに引き下げるなど、具体的な数値目標を示している。
2012年に国務院が発表した「省エネと新エネルギー自動車産業発展計画(2012-2020年)」とは異なり、 今回の意見募集稿では、電気自動車、プラグインハイブリッド車の最高スピードの目標値を削除し、後続距離、バッテリーの単位重量当たり出力、使用寿命などの目標値を撤廃し、電気駆動システムの電力密度にも言及せず、「平均燃費」と「平均電力消費量」の目標値を打ち出した。
「意見募集稿」の解釈によると、平均燃費とは「平均燃料消費量」であり、車種の対応車両台数に基づいて加重平均して算出した1台当たりの平均燃費だ。 工業情報化省が公示した最新の「自動車船舶税減免の優遇を受ける省エネ·新エネ車車種目録」によると、現在、すべてのプラグインハイブリッド車は2L/100kmの平均燃費水準が必要とされている。現状として吉利のPHEV SUVのLYNK&CO 01の平均燃費は4.8L/100kmで、全PHEV車種の中で最も平均燃費が低いモデルとなっている。2025年までにプラグインハイブリッド車の平均燃費を2L/100kmに下げることが、まだまだ各メーカーにとってハードルが高い。
一方、電気自動車の平均電力消費量とは、車種の対応車両台数を加重計算して算出した車両の平均電力消費量である。工業情報化省が発表した「新エネ車普及応用推奨車種目録(2019年第10回)」によると、6車種の電気自動車の平均消費電力は12KWh/100kmを下回り、うち上汽通用五菱の宝駿電気自動車は9.9KWh/100kmと最も低い。対して電気自動車のうち、SUVタイプとMPVタイプはいずれも12KWh/100kmを上回っており、このうちダイムラーとBYDの合弁ブランドである騰勢(Denza)のSUVの消費電力は17.9KWh/100kmに達している。車重が大きい車種ほど、12KWh/100㎞の指標を達成するには難しいことが分かる。
業界関係者の間では、「意見募集稿」の電気自動車新車の平均消費電力指標を撤廃すべきだとの意見が出ている。理由は、電気消費量は、単純に燃費に置き換えることが合理的ではないことだ。現在ガソリン車のエンジンの熱効率は30%前後であるのに対して、駆動モーターのシステム効率が80%より高い作動区間は8割以上を占めており、エンジンに比べ、モーターの理論上の効率アップの余裕は限られている。一方、電力消費制限目標の設置は、コネクテッド化の足かせになる可能性がある。自動車のコネクテッド化が進むにつれ、より多くのセンサーやレーザーレーダーなどのスマート化デバイスが消費電力を大幅に増やすことになる。自動車と自動車、自動車とネットワーク、自動車とインフラ、自動車と歩行者などの自動車のネットワーク化の進展も電気自動車の消費電力の増加につながる。
参考記事:http://auto.sina.com.cn/news/hy/2019-12-05/detail-iihnzahi5417505.shtml